2月が円高のピーク!「1ドル130円割れは続かない」といえるワケ【国際金融アナリストが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円相場は、昨年10月につけた「1ドル151円台」をピークに円安地合いが終焉、以降は米ドル安・円高トレンドが続いています。しかし、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、足元の円高を「行き過ぎ」と捉えており、2月に円高のピークをつけたあとは「円安に転換する」と予想します。それはなぜか、みていきましょう。

「1月31日~2月6日のFX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

◆130円を大きく割り込んだ米ドル安・円高は、90日MAかい離率で見ると短期的な「行き過ぎ」懸念が強い

◆「行き過ぎた円高」は、日銀緩和策転換に対する過度な金利上昇見込みなどの影響が大きいのではないか

◆2月は円高がクライマックスを迎え、行き過ぎの反動で円安へ転換する局面を予想。米ドル/円の予想レンジは125~133円

短期的に行き過ぎた米ドル安・円高

1月の米ドル/円は、一時130円を大きく割り込む一段安となりました(図表1参照)。では、この米ドル安・円高はまだ続くところとなるのでしょうか。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の週足チャート(2022年1月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

米ドル/円の90日MAは、足元で140円程度なので、年明け以降の米ドル/円は、そんな90日MA(移動平均線)をまさに10%程度と大きく割り込みました(図表2参照)。経験的にこれは、米ドルの短期的な「下がり過ぎ」懸念が強まっている可能性を示しています。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表2]米ドル/円の90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

2000年以降で、今回のように米ドル/円の90日MAかい離率がマイナス10%前後まで拡大したのは、2002年7月など4回しかありませんでした(図表3参照)。その意味では、今回はせいぜい4~5年に一度あるかどうかといった米ドル「下がり過ぎ」が起こっているということになりそうです。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円の90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

では、そんな米ドルの短期的な「下がり過ぎ」が一巡となった後は、どんな展開になったのでしょうか。

 

2002年7月、2008年3月のケースは、米ドル「下がり過ぎ」一巡で記録した安値は米ドルのサイクル・ボトム(循環的安値)となり、この米ドル安値の更新には半年から1年以上も要するところとなりました(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円の推移(2000~2009年) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

これを参考にすると、今回も米ドル「下がり過ぎ」が一巡した後は、そこで記録した米ドル安値の更新は半年から1年以上も先になる可能性があります。その意味では、年明け以降の米ドル安・円高は、当面における「最後の米ドル安・円高」となる可能性もあるでしょう。

 

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    マネックス証券  チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長

    大手の投資情報ベンダーの編集長、社長などを歴任し、国際金融に関する情報発信の分野で活躍。 機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なっている。 2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務めた。 書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。

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    著者紹介

    連載国際金融アナリスト・吉田恒氏が解説!今週のFX投資戦略

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