(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相が2023年1月23日に施政方針演説のなかで「異次元の少子化対策」を表明したことが話題になっています。少子化対策のなかでもとりわけ重要なものの一つが、子育てと仕事を無理なく両立できる環境の整備です。実は、中小企業・個人事業主が従業員の出産・育児をサポートする助成金があり、積極的な活用が期待されます。本記事ではその制度の一つ「両立支援等助成金」についてお伝えします。

両立支援等助成金とは

両立支援等助成金は、中小企業・個人事業主が従業員のため、出産・育児、介護などと仕事とを両立できるように所定の支援を行った場合に、助成金を受け取れる制度です。

 

なかでも、出産・育児に関係するのは以下の2種類です。

 

・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

・育児休業等支援コース

 

なお、このほかに、「介護離職防止支援コース」があります。

助成金の対象となる事業主の要件

両立支援助成金の対象となる「中小企業事業主」の要件は以下の通りです。

 

【「中小企業事業主」の要件】

・小売業・飲食業:資本額等の額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が50人以下

・サービス業:資本額等の額が5,000万円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下

・卸売業:資本額等の額が1億円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下

・その他:資本額等の額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下

 

出生時両立支援コース|父親の育児休業取得促進への助成金

出生時両立支援コースは、男性労働者のため、子の出生直後に育児休業を取得できるように環境を整えた場合に受け取れるものです。

 

「第1種」と「第2種」の2類型があります。

 

【出生時両立支援コースの2類型】

・第1種:男性労働者の出生時育児休業取得

・第2種:男性労働者の育児休業取得率上昇

 

「第2種」は単独では受給できません。「第1種」の助成金を受給したことが前提です。

 

◆第1種(男性労働者の出生時育児休業取得)

第1種の主な要件は以下の通りです。男性労働者が育児休業を取得しやすい環境を整え、実際に取得させたことが必要です。

 

【第1種の主な要件】

・育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること

・育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しにかかわる規定等を策定し、その規定に基づき業務体制の整備をしていること

・男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得すること

 

さらに、男性労働者の育児休業期間中の代替要員を新たに確保した場合は、加算を受けることができます(代替要員加算)。

 

助成金の金額は以下の通りです。

 

【第1種の助成金額】

・育児休業取得:20万円

・代替要員加算:20万円(3人以上は45万円)

 

◆第2種(男性労働者の育児休業取得率上昇)

第2種は、第1種助成金を受給したうえで、男性労働者の育児休業の取得率を3年以内に30%以上アップさせた場合に受け取れるものです。

 

要件は以下の通りです。

 

【第2種の要件】

・育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っていること

・育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しにかかわる規定等を策定し、その規定に基づき業務体制の整備をしていること

・第1種の申請をしてから3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇していること。

・育児休業を取得した男性労働者が、第1種申請の対象となる労働者の他に2人以上いること

 

助成金の金額は以下の通りです。

 

【第2種の助成金額】

・1年以内に達成した場合:60万円(生産性要件充足で75万円)

・2年以内に達成した場合:40万円(生産性要件充足で65万円)

・3年以内に達成した場合:20万円(生産性要件充足で35万円)

 

育児休業の取得率の30%アップに要した年数が短いほど、助成金の額が大きくなります。また、所定の「生産性要件」を充足すれば、さらなる増額を受けることができるのです。

 

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