大企業と中小企業の給与差は、年収でおよそ80万円
口に出すことははばかられるが、なにかと気になってしまう「他人の給与額」。企業規模や職種によっても大きな差があることは承知の上だし、自分なりに努力した結果今があると思えば、納得するしかない。
『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』(東京都産業労働局)によると、従業員が10人〜299人の都内中小企業勤務の会社員(平均年齢42.9歳/平均勤続年数11.1年)の月給(所定時間内給与)は、36万3,904円(そのうち通勤手当は1万1,343円)。さらに残業代等(所定時間外給与)は3万2,453円、総支給額は39万6,357円※1だった。手取りにすると33万円、年収は558万2,454円※2となっている。
※1 2022年7月から1ヵ月の平均給与。
※2 2021年の年間給与。
また、『令和3年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)によると、東京・大企業(従業員1,000人以上企業)勤務の会社員(平均年齢42.4歳/平均勤続年数13.6年)の月給は41万8,800円、年収は641万7,000円だった。
大企業と中小企業の給与差は平均値で月2万円程度、年収で80万円程度となっている。
高卒と大卒、20代前半は高卒が優位も…
では、学歴による給与差はどうだろうか。これも東京都の同調査から確認できる。
まず、新卒で就職で就職したタイミングの平均を見てみよう。
高卒男性:18~19歳/平均月給19万1,416円/年収220万5,989円
大卒男性:22~24歳/平均月給23万1,595円/年収は359万4525円
このようになっている。
高卒社員が入社から5年ほど経ったあたりでは、月給21万2,027円、年収384万3,618円。大卒の20代前半の給与を比較すると、月給は大卒が2万円程度、年収では25万円程度、高卒のほうが多くなっている。
しかし、そこから先は形勢は逆転する。20代後半の年収では、高卒426万4,971円、大卒で451万7,709円に。この差は時間の経過とともに拡大し、30代前半で高卒平均月給28万2,411円、大卒平均月給32万8,277円、年収差は約47万円となる。
40代前半の高卒の平均月給は、34万0,718円。一方の大卒は42万6,392円となり、年収差でみると約130万円に。50代前半では、高卒の平均月給は36万1,551円、は51万3,974円。年収差は約225万円まで開く。
高卒と大卒の年金にも「埋められない差」
高卒と大卒の給与差は20代後半で逆転し、60歳定年とした場合、生涯年収は3,000万円以上の差がつくかたちだ。
当然だが、この状況は老後資産の形成はもとより、公的年金の額にも大きく影響する。
厚生年金の場合、加入期間が2003年3月までは、①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は、②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で算出する。
60歳定年で現役を引退した場合、高卒なら平均標準報酬月額は41万円、65歳から手にできる厚生年金は月9万2,000円程度。国民年金が満額支給なら、合計月15万6,000円。大卒なら平均標準報酬月額は53万円、65歳から手にできる厚生年金は月10万7,000円程度。国民年金が満額支給なら、合計月17万1,000円程度となる。
高卒は4年間も長く保険料を支払っているのに、月1万5,000円、年間18万円、30年で540万円の年金差が生じる。
学歴に関係なく、大きな金額を稼ぐ人はいるし、大卒だからといって必ずしも有利な条件で働いている人ばかりではない。上記の計算も、あくまでも一例でしかないが、それでもやはり、学歴差は大きく収入に影響するといわざるを得ないだろう。社会に出て数年後、シビアな現実を突きつけられ、「あの時、進学していれば…」と、臍を噛む思いをする高卒サラリーマンもいるのではないか。
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