(※写真はイメージです/PIXTA)

「DX」という言葉がもてはやされて久しい一方、本当の意味で「DX」を取り入れ、実践できている企業は決して多くありません。そこで、株式会社GeNEEの代表取締役社長である日向野卓也氏が、各課題に対するアプローチ方法を解説します。

「DX化」を阻害する4つの課題を解決する方法とは

これらの課題は一朝一夕に解決できるものではありませんが、会社の誰かがこの問題に向き合い、取り組まないと会社としての前進はあり得ません。では、具体的にはどのようにアプローチしていけばいいのでしょうか。

 

①コーチングやコンサルティングサービスの受講で「知識レベル」を合わせる

いきなりDXプロジェクトを開始しようとする社長もいますが、危険を伴います。

 

経営幹部層内で共通認識を持たないと、後々小さな齟齬が生まれ、それがDXプロジェクト全体を停滞もしくは頓挫させるきっかけにもなりかねません。

 

何事も焦りは禁物で、まずは土壌を作るところから開始すべきなのです。

 

②社長が自ら音頭を取るか、責任者に部門横断的な意思決定権限を付与する

1番の理想は社長自らが先頭に立ち、DXを推進することです。会社のことを一番熟知しているのが社長だからです。

 

しかしながら、大半の社長は営業活動やお客様対応等で日々忙しくしていることでしょう。そのため、会社のなかで顔が広く、全社的な判断、調整ができる右腕をDX責任者として任命すべきです。

 

また、部門横断的な意思決定権限を一時的に付与することも大切です。与えられた権限が不明確な場合、組織間対立を招く可能性が高いからです。

 

加えて、DX責任者が本業をかねてDXプロジェクトに参画させるのは避けるべきです。隙間時間でDXプロジェクトを進行できるほど甘くはなく、責任者のコミットが求められます。

 

③階層の垣根を超えた懇親会や勉強会、意見交換会の定期開催

認識齟齬の大小を可視化することは非常に難しいものです。それらを把握するようなツールや教材があれば良いのですが、まだそのような便利なものは存在していません。

 

各階層の人間がなにをどの程度まで知っているのか、反対になにを知らないのか、DXに関連するトピックを定め、意見交換会の機会創出をおすすめします。

 

トピックを定めないと意見が発散してしまい、収拾のつかない事態を招きます。

 

たとえば、DXの一環としてチャットシステムを導入するのであれば、「メールとチャットの違い」であったり、「チャットシステムのメリットとデメリット」や「チャットシステム運用時に注意すべき点」といったトピックを立て、デジタルに詳しい若手社員に勉強会のホストを担当させるのも良いでしょう。

 

④会社に根付いている「制度・文化」の一部改変

いきなりすべての制度・文化を刷新してしまうと、大きな歪みを生むことになります。

 

しかしながら、なにもせずそのまま放置した状態が続くと、後々会社にとって大きなリスクを抱えることになるかもしれません。

 

そこでおすすめしたいのは、各制度や文化に関連するドキュメントを俯瞰し、改変前後で影響の少なそうな制度・文化のいくつかを対象に手を加えてみることです。

 

たとえば、退職金絡みの制度はなかなか手を付けにくいですが、業績評価制度などは年度内で完結することが多く、手を加えやすいでしょう。

 

ここで重要なのは、一歩を踏み出すことです。制度や文化は短期間では変わらないものです。毎年ひとつずつ小さな変化を作ることで変化が大きくなり、変革の波を作るのです。

 

 

日向野 卓也

株式会社GeNEE

代表取締役社長

 

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