客観性が確保される…「AI」による面接
これからの採用で最も大きな変化を予想させるのが、AIによる面接です。現在、株式会社タレントアンドアセスメントが対話型AI面接サービス「SHaiN」を提供していますが、今後は多くの企業で導入されていくでしょう。
AI面接では人間が面接をしません。質問内容はあらかじめ決められていて、人の声を模したAIが行います。
現在は主に、人が行う面接を補完する「二段階選抜」の意味合いで使われているようですが、学生の声としては「客観的だからAIのほうがいい」という賛成意見もあれば、「自分の良さが十分伝わらない」と反対意見もあるようです。
ただ、私個人の考え方としては、面接は「将来的にAIがしたほうが絶対にいい」と思っています。人間による面接には必ず面接官の“主観”が入るからです。特に「ハロー効果」といって、学生の目立った特徴に引きずられて、他の特徴の評価が歪められる現象が起きてしまうのが問題です。
例えば、学生が帰国子女で英語がペラペラだったり、海外の文化圏で長く生活をしていた経験があると、それだけで優秀とか、国際的感覚を身についていると見なしてしまったり、逆に第一印象がよくなかった場合には、それ以外の部分も相対的に低く評価してしまったりするのです。
AIであれば、そのような主観を入れることなく、客観的に学生を面接することができます。
また、AI面接が増えることによって学生の情報が集約されていき、応募した時点で過去の面接結果が出てくる可能性も考えられます。その結果、各社ごとに面接を受けなくても、それこそ「大学入学共通テスト(旧・センター試験)」のように一括で面接をできるようになる可能性があるのです。
また、ビッグデータ化が進めば、過去の犯罪歴やいいこと・悪いことも含めた個人情報が紐づけられ、SNSチェックなどをしなくても学生の本質を見極められるようになるかもしれません。遅くとも、シンギュラリティが起きるとされる2045年には、そのような世界になっていると予測されます。
ただこれは、学生だけの話ではありません。企業側も、そこで働いている人たちの情報が外に出るようになったり、さまざまなデータを公開する時代になる可能性があります。
現在でも、転職サイトで過去に働いていた人がその企業を評価したりするシステムがあり、なかにはかなり否定的な評価が書かれている会社もありますが、ビッグデータが活用される時代になると、今まで以上に匿名で否定的な評価を書かれる可能性が大きくなってきます。いい会社をつくらないことにリスクがある世界になっていくかもしれません。
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