(※写真はイメージです/PIXTA)

不倫の事実は、サレタ側にとっては許しがたいことです。しかし不倫に至るまでの間に夫婦関係が破綻していたり、DVやモラハラ行為があったり等、当事者の状況によっては一概にシタ側のみに責任があるといえないケースもあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、有責配偶者からの離婚請求について亀子伸一弁護士に解説していただきました。

念書の有効性が争われた過去の判例

600万円という金額は妥当なのか?

さて、相談者のケースで、「夫が600万円で納得してくれない」という状況では、夫は念書をもとに裁判を起こして1,000万円の慰謝料の支払いを求めてくることが想定されます。

 

相談者側では、相談者の書いた念書が「無効なもの」と主張して争うことになると考えられます。

 

念書の有効性が争われた過去の裁判では、「強迫」による取り消しが認められた事例があります。「強迫」というのは、相手に害悪を生じさせることを示して恐怖心を抱かせ、自由な意思決定を妨げることを指します。

 

例えば、夫が妻に対して暴力を繰り返し、自己のコントロール下に置いた上で、指示通りの内容で妻に念書(慰謝料等2,000万円)を書かせたケースでは、「自由意思に基づいて作成された文書ではないと認めるのが相当である」として、念書を無効と判断しました(仙台地判平成21年2月26日)。

 

また、不倫相手(男性)が念書(慰謝料600万円)の作成に応じたケースでは、不倫現場に夫が夫以外に3名の男性を連れて現れ、その連れてきた男性の一人が不倫相手に対して、「示談に応じなければ不倫相手の勤務先に告げ口をして解雇をさせることもできる」などと述べた事情をもとに、不倫相手が恐怖感を感じて念書の作成に応じたものと認定して、念書を無効と判断しました(東京地判平成29年3月15日)。

 

暴力によって念書を書かせた場合に、念書が無効になることは理解しやすいと思いますが、念書を書かせる際の発言にも注意を払う必要があります。

 

相談者のケースでも、不貞発覚から念書を書くまでの夫の発言内容などで、相談者が「念書を書かないと、大きな不利益がある」などと恐怖心を抱いた事情が認められれば、念書が無効と判断される余地がありそうです。

 

ちなみに、相談者は、600万円の慰謝料を支払うつもりのようですが、600万円という金額は「不貞慰謝料」としては極めて高額で、裁判でも認められない高い金額と考えられます。

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