(※写真はイメージです/PIXTA)

さらに企業を成長させたい経営者にとって、「銀行融資」は欠かせない選択肢です。事業がうまくいっていないときほど「なんとしても貸してほしい」と思うものですが、銀行が「貸したがらない」お金の使い道も存在します。メガバンクに32年勤務し、独立後は融資・補助金に強い専門家として資金調達支援を行う川居宗則氏が、著書『元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より銀行融資の種類と目的について解説します。

プロパー融資の目的は「事業拡大」…“経費目的”はNG

プロパー融資は基本的に会社の成長のために借りる資金です。銀行は貸した資金を設備投資などに使ってもらって、利益を今まで以上に大きくしてくれることを期待しています。

 

つまり、経費に使うための運転資金が足りないので貸してほしいというのは本来のプロパー融資の目的から外れます。研究開発費や人材採用費というような費用のために貸すという発想も銀行にはあまりありません。研究開発や人を増やすことは自社で当期利益の範囲内でやってもらうというのが銀行の考え方だからです。

 

運転資金目的なら「つなぎ融資」、「短コロ」

銀行融資にもいろいろな種類があって、運転資金としての融資は別にあります。一時的に資金繰りが厳しくなったときに受ける融資のひとつが「つなぎ融資」です。

 

補助金が入金されるまでの場合や、取引先から入金が遅れて資金ショートを起こしそうな場合、災害や経済的要因などで一時的に資金繰りが悪化した際に、経営を安定させるために貸すことがあります。

 

また、「短コロ」と呼ばれる運転資金があります。資金の回収期間と支払期間の差によって発生する資金負担を恒常的に借りるものです。短期資金の恒常的な転がしなので「短コロ」と呼ばれます。

 

さらに決算賞与資金というものもあります。会社の決算期に法人税の納税をしたり社員に賞与を支払ったりするため一度に多額の資金が必要になるとき、負担を一時的に軽減するために貸す資金です。

 

「プロパー融資」のために短期融資で“実績を積み上げる”方法も

これらの融資は銀行が短期で回収できる仕組みです。あくまで一時的な融資が多いので金額もそれほど大きくはなりません。それに対して事業成長のためのプロパー融資は額が大きく、5年や10年など長期での貸出です。設備投資をしてその効果が現れるまではある程度の年月がかかるので、必然的に長期間になるのです。

 

この違いが分かっていないと、見当違いの融資を申し込むことになるので注意しなければなりません。

 

短期の融資を何度か繰り返して借りて返済実績を積み上げ、銀行の信頼を勝ち取るという使い方もできます。きちんと返済してくれる会社だと銀行に思ってもらえれば、返済実績のない会社よりプロパー融資を受けやすくなります。

 

《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら

次ページ融資は「慈善事業」ではない

※本連載は、川居宗則氏の著書『元メガバンク支店長だから知っている 銀行融資の引き出し方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

元メガバンク支店長だから知っている銀行融資の引き出し方

川居 宗則

幻冬舎メディアコンサルティング

新型コロナウイルスの感染拡大を受け政府が次々に打ち出した給付金・助成金・3年間返済無しの特別貸付などの中小企業支援策で、中小企業経営者の多くは当面の手元資金を確保することができました。しかし今後は返済猶予期間が…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録