
親は、子どもたちに自分の財産を平等に分けたいと思うものです。しかし、経営者の相続においては、「事業を継ぐ子」と「それ以外の子」に財産を均等に分けるのは困難だと、牧野FP事務所の牧野CFPはいいます。このような家族では、親が決めた分割方法を事前に子どもたちに話し、承諾させておくことが大切ですが、いざ相続が始まると思わぬ横やりが入ったりと、途端にきょうだい関係が険悪になってしまう場合も……。Kさんの事例をもとに、スムーズな遺産分割のコツについてみていきましょう。
トラブルの種となる「不均等な相続」
Kさんは、姉と妹がいる3人きょうだいの長男です。3人とも結婚して家庭を持っています。Kさんは、父の工場で働き、両親と同居していました。3ヵ月前に父が亡くなり、事業を引継ぎ自動車修理工場の店主になるところです。
3人のきょうだいは、生前両親から、「Kさんが家業を継ぐこと」、また「父の財産を均等に3等分はできない。したがって[図表]のように、母親の財産は主に姉妹が、父の財産はKさんが相続するように」と言われており、3人とも納得している状況でした。
Kさんは父の四十九日の法要を営み、お得意さんへあいさつも済ませました。これから父の言いつけ通りに、「3人で遺産を分割して相続の手続きをしよう」と思っていた矢先、姉のJさんから突然メールが入りました。
「K、父からの遺産だけど、遺留分に足りない分はあなたが私に払ってね。」
「遺留分」とは
Jさんのいう遺留分とは、被相続人(ここでは父)から法定相続人(ここでは3人のきょうだい)がもらうべき取り分のことです。この取り分の割合は法律で保障されています。
つまり、Jさんは、自分の遺留分が侵害されているので、「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)※」をしてでも、自分の父からの遺産のうち遺留分に足りない分を、Kさんにお金で支払ってほしいと言ってきたのです。
なお、この3人の遺留分の割合は、民法1042条で、「法定相続割合の1/2」と定められています。したがって、父の相続資産を3等分してさらにその1/2、つまり相続資産の1/6が遺留分です。
<遺留分計算の例>
Aさん・Bさんの兄弟が、父の相続遺産6,000万円のうち、Aさんは5,000万円、Bさんは1,000万円(①)相続したとします。
父の遺産総額:6,000万円
法定相続割合:6,000万円×1/2(2人兄弟のため)=3,000万円(1人あたり3,000万円)
遺留分:3,000万円×1/2(法定相続割合の1/2)=1,500万円(②)
この場合、Bさんの遺留分の1,500万円(②)は、相続できる権利がありますが、実際には1,000万円しか相続していません。そこで、(②)-(①)=500万円を、BさんはAさんに遺留分侵害額としてAさんに請求することができるのです。
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