わが子に継がせるために…F社長なりの準備
和菓子屋F庵、3代目F社長と4代目K専務のプロフィール
F庵は、その地方では名の通った和菓子屋です。F社長は、会社の大部分の株式と夫婦で住んでいる自宅の土地建物、それに現在K専務家族が住んでいる敷地を所有しています。また、K専務の住宅購入には、F庵の取引先銀行で融資を受け、現在住宅ローンを返済しています。
F庵は、10年前に個人経営から法人化しました。その時の手続きは、顧問税理士とその知り合いの士業がしてくれました。
会社の主な資産は、自宅に隣接した、菓子製造工場と事務所の土地建物と設備。それに商品輸送用の軽貨物車3台です。
現在F庵には、F社長の先代から菓子職人として働いているG工場長74歳と数名の職人それに4人の事務員が在籍しています。また、パートの販売担当や繁忙期には応援のバイトも雇っています。F夫人は経理担当の役員を務めています。商品は、工場隣接の売店や百貨店内の店舗で販売し、またお茶会などの会場に届けています。
F家の長男であるK専務は、F庵の4代目を継ぐことを高校生のころには親子で決めていました。経営的なセンスを学ぶため、大学では経営学を専攻し、また大学卒業後は「F庵に新風を取り入れたい」との思いから5年間ドイツに渡り、現地の菓子作りを学びました。帰国後は、F社長知りあいの和菓子店にいわゆる「丁稚奉公」に出ていました。
そして、いきなり専務取締役としてF庵株式会社に入社して5年経ったのです。入社の年に結婚もしています。
入社後は、F庵伝統の和菓子の製造販売、会社の経理などを両親やG工場長、社員から教えてもらいました。
最近では、販売ルートを拡充するため、ネット通販など試み始め、またオリジナルの和菓子やドイツ菓子を考案して、販売するようにもなっています。
F社長はそのようなK専務の姿を頼もしく感じていました。