(※写真はイメージです/PIXTA)

集合住宅の隣人トラブルは、殺人などの凶悪事件にも発展する恐ろしい問題です。これまで隣人トラブルに頭を悩ませたことのある人は少なくないでしょう。物件オーナーの立場からみても、周囲を恐れさせ空室リスクを増大させる原因は一刻も早く取り除きたいと考えるはずです。では、こうした「モンスター入居者」を追い出すにはどうすればいいのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が解説します。

「モンスター入居者」に対する裁判所の判決

その上で、この賃借人の行為は、

 

「本件賃貸借契約の特約において、禁止事項とされている近隣の迷惑となる行為に該当し、また、解除事由とされている共同生活上の秩序を乱す行為に該当するものと認めることができる」

 

と述べて、契約違反に該当すると認定しました。

 

そして、この迷惑行為が信頼関係を破壊する程度のものか否か、という点については、

 

「賃借人の右各行為によって、506号室の両隣りの部屋が長期間にわたって空室状態となり、賃貸人が多額の損害を被っていることなど前記認定の事実関係によれば、賃借人らの右各行為は、本件賃貸借における信頼関係を破壊する行為に当たるというべきである」

 

と述べて、契約解除を認めました。

 

なお、この賃借人は、このマンションに移ってくる前の物件でも、隣室や上階の入居者に対して音がうるさいなどと言ってトラブルを起こし、その物件の賃貸人から訴訟を起こされていた(結果は和解で退去)、というかなり曰くつきの賃借人であったことも判決で認定されています。

 

このため、この事案の賃借人はかなり特異な賃借人とも言えるのですが、迷惑行為が解除事由となるひとつの基準として「その迷惑行為によって、複数の近隣入居者が退去してしまった」ということを示した裁判例として参考になります。

 

※この記事は、2022年8月2日時点の情報に基づいて書かれています(2023年1月9日再監修済)。

 

 

北村 亮典

弁護士

大江・田中・大宅法律事務所

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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