(※写真はイメージです/PIXTA)

集合住宅の隣人トラブルは、殺人などの凶悪事件にも発展する恐ろしい問題です。これまで隣人トラブルに頭を悩ませたことのある人は少なくないでしょう。物件オーナーの立場からみても、周囲を恐れさせ空室リスクを増大させる原因は一刻も早く取り除きたいと考えるはずです。では、こうした「モンスター入居者」を追い出すにはどうすればいいのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が解説します。

賃貸マンションオーナーからの質問

私は賃貸マンションを所有しているのですが、新たに住み始めた賃借人が、入居直後から、両隣の部屋の賃借人とトラブルを起こすなど面倒なことになってしまいました。

 

たとえば、入居直後から「隣の部屋から発生する音がうるさいなど」と隣の入居者に文句を言うようになり、何回も、執拗に抗議を続け、夜中に、壁を叩くなどの騒音を出したり、廊下を通る際に、隣の部屋の入口の扉を強く足で蹴飛ばしたりしたこともありました。

 

マンションの管理人に対しても、「両隣りの部屋の音がうるさい、夜うるさくて仕方がない、何とかしてくれ」などと数回にわたり文句を言ってきました。さらに、仲介業者の担当者に対しても、「隣の住人が夜中にコツコツ壁を叩いたりしてうるさいので何とかしろ」などと要求し、その後も何回か同様の文句を言ってきていました。

 

こうしたことが、賃借人の入居直後から約10ヵ月以上続いたのです。

 

隣の入居者は、この問題の賃借人が入居する3年前から入居していましたが、これまで特に問題はありませんでした。

 

事情をお聞きしましたが、保育園へ通う長男を夜9時すぎに寝かせ、朝、家族全員が起きて出掛けるという生活を送っていただけであり、夜中に騒音を発したことはまったくなかったとのことでした。実際に、クレームを受けた後で管理人が、夜に騒音を何度か確認しに行きましたが、一切聞こえなかったという報告も受けました。

 

隣の入居者は、結局「小さい子供に何かあったら困る」と言って、この問題の賃借人の入居後10ヵ月後には退去してしまいました。以後、この部屋は空室です。

 

もう一方の隣室の入居者に対しても、入居直後から「音がうるさい」などとして、大声で怒鳴ったり、夜中に壁を叩いたりしていました。この入居者も5年以上住んでいた方でこれまで問題はなかったのですが、この問題の賃借人の入居後、わずか3ヵ月後に「隣がぶっそうなので出ます」と言って退去されました。

 

その後に隣室に入居した入居者に対しても同様のことが行われ、すぐに退去されてしまいました。

 

このため、この問題の賃借人の両隣の部屋は、この人の悪いうわさが広まってしまっているようで、新たな入居者も見つからず、今も空き室のままです。

 

このような問題ばかり起こす賃借人には退去してもらいたいのですが、可能でしょうか。

 

なお、賃貸借契約書の特約には、以下の規定がありますので、明らかに契約違反になると考えています。

 

【特約】

(1)賃借人は騒音をたてる、風紀を乱すなど近隣の迷惑となる一切の行為をしてはならない。

(2)賃借人が賃貸借契約の条項に違反したとき、あるいは、賃借人またはその同居人の行為が建物内の共同生活の秩序を乱すものと認められたときは、賃貸人は、何らの催告を要せずして、賃貸借契約を解除することができる。

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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