社会生活において「同調圧力」と無縁でいられる人はほとんどいません。他者からの同調圧力に苦しむ人が多いのはもちろん、自分自身、無意識のうちに同調圧力に加担してしまうことさえあります。本連載では、心理カウンセラーの大嶋信頼氏が、著書『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』より、同調圧力の正体と、上手に受け流すコツや考え方について解説します。
感情そのものが「同調圧力」!?
このプールでの例のように、自分が「同調圧力がすごい!」と思っていたのは、実は自分の心象風景だったのでした。
自分の中にあった「人が並んで睨んでいたら、同調圧力を感じて不安定になって当然」という常識が、勝手に心に不安定さをつくり出していたのです。
それがないから、私の友達はうろたえませんでした。
そして、私自身も、「同調圧力がすごい!」というのが、自分の中にあった常識からつくられたものであって、本当の私は「何も感じていない」と気づいてしまえば、心は静かなことに気がついたのです。
この自分の中の常識というものは、厄介なもので、私たちの感じ方や受けとり方をゆがめる力があります。
たとえば、「病気になった際は弱々しく振る舞うべき」とか、「相手から怒られたら動揺するべき」というような常識をみなさんも無意識に持っていないでしょうか?
でも、これはただの自分の中の常識にすぎません。その証拠に、今度誰かから怒られたときに「動揺する必要はない」と唱えてみてください。おそらく、これまで動揺していた人でも、意外とケロッとしていられたりするものです。
つまり、何が言いたいかというと、私たちは常識めいたものに支配され、「Aという事象に対してはBという感情を感じて当然」として、それらしく振る舞わされていただけで「本当は何も感じていない」というのが本音だったりするということです。
ですから、たとえば「パートナーから振られたら悲しむべき」というのも、見えない同調圧力によってつくられた感情で「本当は何も感じていない」だったりします。
「ショックを受けると思ったら、意外と悲しくなかった!」という人がいるのも、そういうことです。
そう。常識で「悲しまなければ」とか「寂しがらなきゃ」となるから、泣いたり、苦しんでいる振りをしていましたが、それ自体が実は「こう感じて当然」という同調圧力だったりするんです。
株式会社インサイト・カウンセリング
代表取締役
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行なっている。
カウンセリング歴29年、臨床経験のべ9万件以上。ブログ「緊張しちゃう人たち」や会員制オンライン講座「無意識の旅」をほぼ毎日更新している。
著書に『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『「空気読みすぎ」さんの心のモヤモヤが晴れる本』(永岡書店)、『孤独とお金の不安から解放してくれる25の呪文』(主婦の友社)、『ミラーニューロンの彼方へ! 支配からの解放』(青山ライフ出版)、『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』(祥伝社)等多数。
●緊張しちゃう人たち
http://insight-fap.jugem.jp/
●無意識の旅
https://m2191204.megadoga.com/
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連載現代人必見!心理カウンセラーが語る「誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法」