詐欺グループが持ち出した「切り札」
この当時、蔵人会長は大手定食屋チェーンである大戸屋の株買い占めを計画中であり、資金があればあるだけ買収のスピードアップを図れる状況だった。
しかし、この時点では両者にとって大きな壁が立ちはだかっていた。それは、先述した通り日本を代表する財閥系金融機関でさえ、これほどまでに巨額な融資を実行できないという、誰でもわかる当たり前の現実だった。
そこでXとYは切り札である『基幹産業育成基金』を持ち出したのだった。
基幹産業とは文字通り日本国の経済活動の基盤となる鉄鋼、エネルギー、電力、機械、化学などの重要産業を指し、すべての産業の発展の基幹になる分野、その原資となる分野の総称だが、時代の流れとともにITや情報サービスなども次世代基幹産業と記されることもあり『日本の経済発展の中心となる産業やその分野における代表的な企業』のことである。
その基幹産業の育成基金となれば言い換えれば『日本の経済発展の中心となる企業を育成するための基金』とも言える。
XとYは蔵人会長に対して、
「自分たちは日本の基幹産業育成基金の管理人から依頼された『推薦人』であり、イギリスの同様の機関ともパイプがあります。あなたは現在、そしてこれからの日本経済を支える重要な経営者であり、長引く日本の経済不況を打破するために、特別処置として基幹産業育成基金およびイギリスの機関から合わせて2800億円を融資したいと思うのですがいかがですか?」
と伝えたのだった。
基幹産業育成基金についても、
「第二次世界大戦終戦時にGHQが押収した旧日本軍の隠し財産が日本政府に返還されたものであり、政府はこの財産を運用して日本の高度経済成長を作り、極秘に資産運用を繰り返すことで総資産を増やし続け、特別に選ばれた優秀な経営者に融資をすることでオイルショックやバブル崩壊といった国家的な経済危機を乗り越えてきました。
現在は長らく続く不況の回復が必要課題であり、極秘に厳正な調査をしたうえで日本経済の発展に役立つと思われる優秀な経営者として選んだ人物に対して必要と思われる資金を無償で提供するものです。
また、イギリスも同様でこの度のEU離脱後を想定した独自経済を目指していますので、日本政府と組んで資産運用を実施しようとしています。イギリスに頼まれれば、日本政府も動くしかないですから」
と説明した。
これこそまさにM資金ネタそのもので、過去の変形類似型よりも原点の口上に近い内容だった。
ゆえに蔵人会長も「これはもしかして……M資金では?」と気がついたはずだが、蔵人会長はM資金話であると気がついたうえで、彼らの話の深みに積極的に踏み込んで行ったのだった。
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