(※写真はイメージです/PIXTA)

NY州弁護士・秋山武夫氏の著書『司法の国際化と日本』より一部を抜粋・再編集し、「司法の国際化」について見ていきます。

なぜこのようなことが起こるのか?「背景にあるもの」

背景にあるのが経済や社会のグローバル化、そしてそれに伴う司法のグローバル化です。「域外適用」はこれらの単純な帰結に過ぎません。

 

特定の国である行為がなされ、その影響が国内にとどまるならば、従来の法律や制度で対応できるでしょう。企業活動においても国内の法律を守っていれば一般には問題は生じません。

 

一方、商品売買や金融取引が国際的規模で行われ、一つの国で行われた行為が他国へ影響を及ぼすことが当たり前になった今日、企業活動には複数の国の法律が関係します。

 

ところが多くの国の法律や司法制度はグローバル化への対応は十分とは言えません。その中でリードしているのが米国の司法です。

 

多人種・多民族・多宗教のあらゆる価値観を持つ人々からなる米国では、そこで起こる争いを解決したり、犯罪に対応するため、特定の文化や慣習にとらわれない普遍的なシステムの構築に多大な努力を払ってきました。また、多発する犯罪を解決していく仕組みとして、世界で類のないほど効率的な仕組みを築いています。

 

このような仕組みはそのまま国際社会でも有効に働きます。米国の司法が世界のスタンダードになりつつある一つの理由です。

 

今後もこのような動きは激しくなっていくことは間違いありません。「司法の国際化」が急速に進み、「米国司法の世界スタンダード化」が既成事実となっている今、日本はどう対応するべきか、日本企業はどう生き延びていかなければならないのか。それが本連載のテーマです。

 

 

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秋山 武夫

NY州弁護士。

1969年一橋大学法学部卒業、同年丸紅に入社、以来50年にわたり国際法務の現場で活躍。

1975年ワシントン大学ロースクール卒。

元ピルズベリー・ウインスロップ・ショー・ピットマン法律事務所シニアパートナー。

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『司法の国際化と日本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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