現在の価値にして4,400兆円以上…GHQが“血眼で探した”旧日本軍の隠し財産。決して表に出ない「戦後日本」の闇

現在の価値にして4,400兆円以上…GHQが“血眼で探した”旧日本軍の隠し財産。決して表に出ない「戦後日本」の闇
(※写真はイメージです/PIXTA)

第二次世界大戦下、敗戦濃厚と判断した旧日本軍の一部が、連合国に押収されるのを嫌って極秘に保管したといわれる「M資金」。この『公表されていない資金や財宝』『使い切れなかった財産』はどこに隠されているのでしょうか。ライターの藤原良氏が、いまだ発見されていない「M資金」誕生の背景を解説します。

M資金とはなにか

M資金の頭文字である『M』には諸説ある。一般的には第2次世界大戦終戦直後(1945年)ポツダム宣言執行による日本の占領政策を実施するべく、東京都千代田区に設置された連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)最高司令官だったダグラス・マッカーサー元帥の下で、経済科学局の局長を務めたウィリアム・フレデリック・マーカット少将のイニシャルである『M』が由来とされている。

 

言うまでもないが、ポツダム宣言とは第二次世界大戦終結における日本の降伏に関して連合国が定めた要求書で、1945年8月、日本が受諾。同年9月、降伏文書として調印・発効されたものだ。

 

この宣言に基づき1952年のサンフランシスコ講和条約が発効されるまでの約7年間、日本はGHQによる占領支配を余儀なくされた。

 

その占領下でマッカーサー元帥直属の側近グループ『バターンボーイズ』のひとりとして腕を振るったのが、前出のマーカット少将だった。彼は経済科学局長として日本の財閥解体などの経済政策を主導しつつ『旧日本軍の隠し財産』の調査・押収を進めていた。

 

旧日本軍の隠し財産とは、戦費を稼ぐために軍主導でおこなわれていた経済活動の成果であり、敗戦不可避と判断した軍の一部がその成果物を連合国に戦利品として押収されるのを嫌って極秘に保管し、主に敗戦後の反撃用戦費や日本軍再興費用として各地に隠匿した軍資産である。

 

この隠し財産の存在については、山下泰文大将率いる日本軍がフィリピンに隠したとされ、いまや『山下財宝』として知られている。都市伝説と見る向きもあるが、大本営の情報参謀であった堀栄三が金塊による兵站維持計画について証言しており、この計画で日本からフィリピンに移送された金貨が後に山下財宝と呼ばれる代物になったようだ。

 

第二次世界大戦に参戦した日本の戦費総額は、大蔵省(現:財務省)が発表したものだけでも当時の金額で約7,600億円。これは現在(2021年)の価値にして約4,400兆円以上にものぼる。

 

戦費には国民からの税徴収だけでなく、進軍先となった諸外国内で戦争手形と呼ばれる軍票を乱発しての現地通貨調達も含まれた。

 

これは主に帝国陸軍の任務であり、軍内部では資金調達グループが複数配置され、それぞれのリーダー格の苗字を冠した「〇〇(苗字)機関」と呼び、戦後の政財界でフィクサーと呼ばれた児玉誉士夫が率いた上海の『児玉機関』などは後に広く知られるようになった。

 

各機関はこういった経済活動の他にも各地で戦利品として、現地での金塊、宝飾品、美術品など押収し、戦費に充当していた。また軍票による資金調達だけでなく、さまざまな非合法ビジネスによる収益も確保していた。

 

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※本連載は、藤原良氏の著書『M資金 欲望の地下資産』(太田出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

M資金 欲望の地下資産

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藤原 良

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