〈法定相続人不在〉独身の従兄弟の死…「先祖伝来の不動産」を取り戻したい【司法書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ある男性の従兄弟は、先祖伝来の土地を承継したものの、独身のまま亡くなりました。法定相続人がいないため、男性は、従兄弟の遺産である土地を自分の家系に取り戻すべく、自身が相続する方法を模索したものの頓挫。買い戻しを検討しています。具体的にどんな手順を踏めばいいのでしょうか。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が解説します。

亡き従兄弟所有の、先祖伝来の土地を買い戻したい

 【相談内容】 

 

2年前に、横浜市在住の従兄弟が亡くなりました。従兄弟は60代で、すでに親きょうだいもなく、また、生涯独身で子どももいません。従兄弟は私の父方の実家に代々伝わる不動産の一部を承継していますが、この資産を引き継ぐ法定相続人がいません。

 

この件を知り合いに相談したところ、特別縁故者の申立てをして、家庭裁判所が相続財産管理人の申し立ててはどうかとアドバイスを受け、実際に申し立てをおこないましたが、残念ながら認められず、私に所有権を移すことはできませんでした。

 

非常に思い入れのある土地のため、お金を出してでも購入しようと思うのですが、登記ではどのような手続きが必要になるのでしょうか?

「亡〇〇相続財産」から、買主に所有権移転登記する

 【回 答】 

 

売買契約の締結者が相続財産管理人である場合には、相続財産管理人の資格を確認することと、契約内容が裁判所の許可審判の内容と合致しているかを確認します。

 

相続財産管理人の資格は、家庭裁判所の選任審判書により確認します。

 

また、売却許可の審判をうけるためには、買受人の住所氏名および売却金額等が特定されている必要があるため、許可審判の後で売主および買主の合意による変更はできません。

 

◆相続人不存在と相続財産管理人

民法951条は、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」と定めています。

 

相続人不存在により家庭裁判所が相続財産管理人を選任した場合、被相続人名義の不動産の所有権登記名義人の氏名は「亡〇〇相続財産」へ変更登記を申請する取扱いです。

 

このため登記の名義については「所有権登記名義人の氏名変更」の登記として「亡〇〇相続財産」として登記をされます

 

※ これは相続登記の未了の不動産を、既に亡くなっている方が相続した場合、亡くなっている方の相続人が「亡〇〇」の名義で所有権移転登記をすることも可能ですが、これとは異なり、所有権移転登記を伴わない「所有権登記名義人の氏名変更」と同じ扱いです。

 

その後、「亡〇〇相続財産」から、買主に対しての所有権移転登記に必要な書類は下記のとおりです。

 

◆添付書類

①家庭裁判所の相続財産管理人選任の審判書 

相続財産管理人の資格を証明する書面として必要です。作成後3ヵ月以内のものが必要となります。

 

②家庭裁判所の権限外行為の許可書 

相続財産管理人が家庭裁判所の権限外行為許可書を添付して登記を申請する場合には、通常の売買と異なり、登記義務者(相続財産法人)の権利に関する登記識別情報(登記済証)の添付は不要です(登記研究606、p.199)。

 

③印鑑証明書 

相続財産管理人の印鑑証明書として、次のいずれか1つを添付します。(イ)を添付する場合は3ヵ月以内のものである必要はありません。

 

(ア)住所地の市区町村長が作成した印鑑証明書(3ヵ月以内)

(イ)裁判所書記官が作成した印鑑証明書

(ウ)登記所が作成した印鑑証明書(3ヵ月以内)

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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    司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

    司法書士法人近藤事務所ウェブサイト:http://www.yokohama-isan.com/
    孤独死110番:http://www.yokohama-isan.com/kodokushi

    横浜市出身。横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。

    取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。

    著者紹介

    連載現場第一主義の司法書士がレクチャーする「相続まめ知識」

    本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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