(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進展し、核家族・未婚者が増えている日本では、孤独死リスクと背中合わせの人が増えています。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士であり、不動産会社の経営者でもある近藤崇氏が実情を解説します。

高齢化・核家族化・未婚率上昇…高まる「孤独死リスク」

高齢化・核家族化・未婚率の上昇という現代社会の構造は、今後さらに多くの「ひとり暮らしの高齢者」を生むと予想されます。

 

内閣府「令和6年版高齢社会白書〈全体版〉」によれば、65歳以上の高齢者のうち、実に約20%の900万世帯以上が「単身世帯」となっており、年々その割合は増加中です。

 

また、家族との関係が希薄な場合や、精神的な不調・生活苦などが重なると、周囲に助けを求めることが困難になり、最終的にだれにも看取られず亡くなる、いわゆる「孤独死」のリスクが高まります。

 

そして亡くなったあとは誰からも気づかれず、数日、時には数週間にわたって放置されるケースも少なくありません。

孤独死が発覚した、その後の手続き

孤独死が疑われる場合、通常の「看取り」や「家族立ち会い」のある死亡とは異なるため、次のような特殊な対応が必要となります。

 

①警察の現場検証と検死

 

まず通報を受けた警察が現場を検証し、事件性の有無や死因を確認します。腐敗が進行していた場合、司法解剖やDNA鑑定が行われ、身元や死因の特定には数日〜数週間かかることもあります。

 

ちなみに横浜市は東京都内と違い、監察医の制度がありません。このため、警察の判断により行う解剖に要する費用(司法解剖)は公費で負担されますが、医師の判断によりご遺族の承諾を得て行う解剖に要する費用(行政解剖)は、ご遺族の負担となります。概ね7~9万円の費用がかかるとされています。

 

②遺族への連絡・引き取り


身元が判明すると、次に遺族への連絡がなされます。しかし、親族と疎遠だった場合や、そもそも親族がいない場合、「だれが遺体を引き取るのか」という問題が発生します。

 

③相続と不動産の取り扱い


自宅や預貯金、その他の財産があった場合、それらの名義変更手続き(相続登記や金融機関の手続き)が必要になります。この段階で司法書士などが手続きを行うことになります。

次ページ遺族が抱える課題は多岐にわたる

本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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