自社の優秀な社員を指標に「採用要件」を定量化する
こうした課題を解決していく方法は、採用要件を定量化することです。つまり「期限と状態を明確にする」という意味です。 自社に必要な人材を期限と状態を明確に示すことが重要です。
たとえば、採用した人材には何年で一人前の状態になってほしいでしょうか。1年、2年、3年……。ここは事業内容によってもかなり差が出ると思います。重要なのはここからです。仮に、3年で一人前になってほしいとしましょう。そうであれば、入社3年の社員を見て、そのなかでパフォーマンスが高い人を数人選んでください。そして、その人たちの「コミュニケーション能力、積極性、自主性」を数値化するのです。
簡単な手段は適性検査の実施です。選んだ社員数人の結果が完全一致することはないでしょうが、ある程度リンクする項目が出てくるはずです。この項目を採用要件として設定し、母集団形成や面接時の判断基準に用いていくと、自社で社員が育ちやすくなるはずです。
もちろん「数値化できない部分だってあるのではないか」という主張を抱く人もいるでしょう。それは、間違いではありません。なんの基準もなくとも数多く面接をこなしていけばいつかキラリと光るダイヤの原石に出会えるかもしれません。
しかし、その人材だけを探すことが未来の組織図の実現につながるでしょうか。採用活動の速度を落とさないためにも、まずは活躍できる基準を明確にし、母集団を確保したうえで、よりハイパフォーマーである可能性が高い人材を採用したほうが無駄がないはずです。
企業における「経過変化」の重要性
企業の成長には「経過変化」が重要です。経過変化とは「日々の積み重ねのなかで工夫を続けて変化する」という意味です。これに対し、環境の変化やシステムの導入による変化は「機会変化」と呼びます。機会変化が必要ないという意味ではないのですが、経過変化が軽視されてしまう傾向があるのです。注意してほしいのは、システムやサービスを利用するだけでは機会変化で終わってしまうということです。
市場は常に変化をするので、自社で活躍する人材も当然変化していきます。採用要件を明確にすることを諦めず、経過変化によって自社の成長を実現する採用活動を推進していきましょう。
仲 悠将
株式会社識学
名古屋支店 係長/シニア講師
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