新型コロナウイルスの流行により、採用活動のオンライン化が進みました。なかには、内定まで一度も学生と対面しないケースもあると、600社の企業に新卒採用などの組織変革コンサルティングを実施する株式会社Legaseedの近藤悦康代表はいいます。採用される側の学生はオンラインでの採用活動をどのように感じているのでしょうか? データとともに紐解いていきます。
オンラインだけで選考して、大丈夫なのか?
2022年卒採用では、一度も対面で会えないまま内々定を出したことがある企業が4社に1社、上場企業に限れば半数に達します。新型コロナウイルスの影響を受けた2021年卒採用においては、約4割の学生が一度も採用担当者と対面で会うことなく内々定を得ています。
ただし、学生の声を聞くと、画面越しだと企業や社員の雰囲気がわかりにくい、自分の言いたいことや熱意を伝えづらい、という意見も多くあります。これは企業側も同様です。企業の雰囲気を伝えにくい、求職者の人柄がつかみにくいといったミスマッチにつながるデメリットを感じた担当者も多かったでしょう。
当社も、2021年卒は「対面のみ」「対面とオンラインの併用」「オンラインのみ」で採用が決まった内定者がいました。振り返ってみると、対面で選考していない人材のほうが、印象のギャップや、相互の認識のギャップが生まれやすいという体験がありました。
やはり、学生にとっては、自分の目で企業を見ること、自ら仕事を体験することで企業文化や仕事の意義を感じやすいのは事実です。企業側としても、実際に仕事に取り組んでもらったほうが、学生の発言や行動をしっかり見て判断できる上、体験を通して自社で働く魅力や社風・文化を訴求できる利点があります。
こういったことも踏まえ、私は、オンラインで接触や情報提供の利便性を図りながら、リアルの場で体験型の選考をすることで互いのミスマッチを減らせると考えます。
近藤 悦康
株式会社Legaseed
代表取締役CEO
株式会社Legaseed
代表取締役CEO
1979年、岡山県生まれ。アチーブメント株式会社に新卒第1号で入社し、数々の新規事業を立ち上げながら、口コミで集まる人材採用の仕組みを構築し、年間2万人以上が応募するに人気企業へと飛躍させる。
2013年、株式会社Legaseedを設立。「はたらくを、しあわせに」を企業理念に600社の企業に新卒採用、人材育成、人事制度設計などの組織変革のコンサルティングを実施。また、会社経営者、ビジネスパーソン、新卒学生など、延べ10万人を超える人たちにセミナーやワークショップを行う。同社は、年間1万7,000名を超える学生が応募する人気企業となり、「楽天みん就」で学生が選ぶ「2021年卒インターン人気企業ランキング」で10位(2021年調べ)。成長が期待されるベンチャー企業100社として、2022年「ベストベンチャー100」に選出される。
主な著書に『99%の会社が知らない「超・デジタル採用術」 オンラインでも応募者の心は「見える化」できる!』(徳間書店)、『日本一学生が集まる中小企業の秘密』(徳間書店)、『社長のための、会社を潰さない人材採用術内定辞退ゼロ』(実業之日本社)、『伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載コロナで激変した人材採用…応募者の心を「見える化」できる採用DX