(※写真はイメージです/PIXTA)

人材不足が叫ばれる日本企業。DX推進にあたっても、デジタルの専門家などのIT人材を積極的に確保しようとする企業が多く見受けられます。しかし、これには誤解があるといいます。一体どのような意味なのでしょうか、みていきます。

DXに成功した企業は、極めて少数

1.「人のトランスフォーム」を推進する人材開発

 

そもそも、実際にDXに取り組んでいる人や企業はどの程度いるのでしょうか? 用語の定着感に比べ、統計をみていくと、その取り組み自体が、実はまだまだマイナーな活動であることがわかります。

 

たとえば、2021年の調査では、部分的な取り組みを含めても6割弱、全社的に取り組んでいる企業は2割程度であり、ここから劇的な変化はないとすると「DXと無縁な人や企業」がまだまだ多数派となっています。

 

出典:IPA(情報処理推進機構)「DX白書2021」https://www.ipa.go.jp/files/000093705.pdf
[図表1]DXへの取組状況 出典:IPA(情報処理推進機構)「DX白書2021」

 

取り組む人が少数であるだけでなく、その成功率についても満足の行く結果とは言い難いようです。なにをもって成功とするかは悩ましいですが、企業のDXの成功率は、行政や、IT企業、コンサルティングファームなどから、企業へのアンケート等から算出したものが発表されてます。同じ基準で成否を判定しているわけではないため当然ばらつきはあるものの、経済産業省が発表した「DXレポート2(中間取りまとめ)」によると、日本企業のDX成功率は3.1%という数値から、大変低いことがわかります。

 

出典:経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」の「DXレポート2(本文)」 https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf
[図表2]DX推進指標の自己診断結果 出典:経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」の「DXレポート2(本文)」
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-3.pdf

 

DX推進は、既存業務に比べて新規性や難易度が高い取り組みとなることがほとんどであり、「担当をつけてKPIをセットすれば進む」ようなシンプルな課題ではないことは大前提として認識する必要があるのです。

 

しかし現状は真逆となっているケースが多く、このようなDXの難易度や隠れた阻害要因を無視して、DX推進担当を置き、半期中に事業貢献成果を求める状況が横行しています。こうなると、担当者は短絡的に既存のデジタルツールを導入する程度のことしかできなくなり、本質的な変革を成し遂げられないでしょう。残念なことに、筆者が実際に「DX」を謳うカンファレンスや展示会に出席しても、ITツールやデータ収集に関する情報交換にとどまるケースが大半である状況が観察できます。

 

DXに関与し、あわよくばそれに貢献したいと思うのであれば、推進担当者であっても、アサインする側や、サポートする立場であっても、DXが前例の乏しい新たな挑戦であることを自覚し、データやデジタル技術といった道具の習熟よりも前に、変革に取り組む挑戦者へと自らを進化・トランスフォームしていく必要があるのです。

 

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