DX推進の課題
「中小企業のDX推進に関する調査」によると、DX推進における課題の上位は「DXやITに関わる人材不足」「具体的成果がみえない」「予算の確保が難しい」となっています(図表1)。
今回は、「具体的成果がみえない」という課題にフォーカスしていきます。成果がみえない原因はなんでしょうか? 「まずは社内改革から」、「課題解決ではなくDXソリューションの導入が目的」としてしまい、変革(トランスフォーム)することが置き去りになっていませんか? これこそが、DX推進の成果がでないボトルネックです。
企業がDXに期待する成果
DXに期待する成果・効果は、「業務の効率化」が60.3%、次いで「コストの削減」が48.1%。一方で、DXの実現を通して期待される「新商品・サービスの創出」、「顧客接点の強化(顧客ロイヤルティの向上)」、「企業文化や組織マインドの変革」などは低い結果となっています。(図表2)
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の真の目的は、デジタルを活用することによるコスト削減や利益率向上ではなく、ビジネスモデルレベルでの変革を起こしてマーケットをリードしていくことにあります。よって、業務の効率化やコストの削減を目的においた場合も、その変革がビジネスへの効果=顧客への価値提供の変革が起こらなければDXとはいえません。
これを実現するためには、3つのポイントがあります。自社のなかだけで検討するのではなく、まずは外に出ることが重要です。そして顧客のところに行き、自社の得意を活かして顧客の課題に寄り添うことで変革を起こしましょう。どんな小さな変革でも起こすことができれば、それを起点に新たな課題がみえてきます。これによって変革が起き続け、デジタル技術を活用したビジネスモデルレベルの大きな変革を起こすことが可能となります。
つまり、DX推進で成果をだすポイントは、「外に出よう」、「顧客のところに行こう」、そして「リアルな課題を解決しよう」の3つです。また、これはDXの担当者だけではうねりは生まれません。経営層が顧客の紹介、リーダー層が社内の部門間調整、担当者が顧客課題に寄り添うかたちで三位一体となることが肝要です。