※画像はイメージです/PIXTA

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔けていくばかり……。いかにして資産を防衛し、運用していけばいいのか?本連載は、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)の河野眞一氏と、3000人以上の富裕層をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)を一部抜粋・編集したものです。

世界中で歴史的インフレが勃発

利上げは米国だけではありません。世界では歴史的なインフレが起こっていて、各国中央銀行はその対応に追われています。

 

たとえば、イギリスは6会合連続、オーストラリアも4会合連続、スイスは約15年ぶり、カナダは24年ぶりに利上げを実施しました。2022年7月21日には欧州中央銀行(ECB)が11年ぶりに0.5%の政策金利引き上げ、9月にも0.75%の利上げを行っています。

 

ただし、こうした利上げ競争自体は、米国経済にさほどインパクトは与えないと考えています。米国は巨大な消費マシーンが自国のマーケットにあり、そこでの消費活動がメイン。他国の金利の影響を大きく受けるようなマーケットではありません。今は内需を適正化させるため、金利を引き上げてインフレを抑制することが最大の課題なのです。

今後考えられる経済市場における2つのシナリオ

このような環境下で、今後は2つのシナリオが考えられます。

 

【シナリオ①】

景気の回復に伴うインフレの進行と利上げといった適切な経済サイクルで、為替相場は相応なところで円高に戻り、平静に収れんしていく。

 

【シナリオ②】

インフレが加速し、そのために金利を引き上げる。いったんは円高に転じるかもしれないが、景気自体回復していないので日本経済にとっては最悪のシナリオである悪い円安の流れに移行する可能性がある。

 

海外からすると、先進国はどこもインフレで、日本でも蕎麦や牛丼が値上がりするなど物価上昇は相応にあるはずなのに、消費者物価指数が2%台だからといって何もしないのはおかしい、何もしないほうが危険という見方があることは事実です。

 

日本政府と日銀には、慎重なかじ取りが求められそうです。実際、2021年にインフレは一時的と見ていた世界の主要中銀が、2022年は極的な利上げに転じていることを見れば、日本が直面しているリスクは理解できるでしょう。

株式市場における4つのサイクル

では、このような厳しい時代に個人投資家はどのような行動を取ればいいのでしょうか?まずは、投資家にとって身近な株式投資について考えていきましょう。一般的に株式市場の動きには、以下に挙げる4つのサイクルが存在します。

 

①金融相場:金融緩和などにより低金利の状況。景気回復が期待されて株価は上昇

②業績相場:金融緩和によって景気は回復、企業業績も良好になって株価は上昇

③逆金融相場:インフレを抑制するため金利を引き上げる。株価は天井を打って下落へ

④逆業績相場:景気が悪化し、企業業績も影響を与える。株価下落が継続

 

次ページ4つのサイクルに応じた【投資のコツ】とは?

※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

河野 眞一、長谷川建一

扶桑社

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。 なぜ世界中で物価高が起きているのか? なぜ円安が止まらないのか? きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔…

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