※画像はイメージです/PIXTA

2022年10月、円相場は1ドル=150円を突破し、32年ぶりの円安水準を更新。きたる物価高・円安・大増税時代には、円資産を持っているだけだと資産は熔けていくばかり……。いかにして資産を防衛し、運用していけばいいのか?本連載は、世界最大の資産運用会社「ブラックロック」日本法人の最高投資責任者(CIO)の河野眞一氏と、3000人以上の富裕層をコンサルティングしてきた外資系プライベートバンカー長谷川建一氏の著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資 』(扶桑社)を一部抜粋・編集したものです。

【投資のコツ①】サイクルによって投資対象を変更

直近の米国株式市場に当てはめると、2020年3月のコロナショック直後は、金融相場が始まったタイミングです。通常なら景気はゆっくり動き、1つのサイクルで5~10年はかかるものですが、今回は各サイクルが非常に短く、金融相場から業績相場までの期間は2年で終わり、2022年1月以降は逆金融相場にシフトしたと考えることができます。

 

実際にFOMCが政策金利を引き上げ始めたのは2022年3月以降ですが、2021年11月の時点で金融政策の引き締めを表明していて、それに至る過程で業績相場から逆金融相場になったと考えるのが妥当でしょう。

 

資産運用の面で考えたいのは、サイクルによって投資対象を変更する必要があることです。

【投資のコツ②】不況に強い投先を活用する

たとえば、株価が上昇局面の金融相場~業績相場ではグロース株(成長株)がメインとなりますが、反対に株価が低迷する逆金融相場~逆業績相場では株式の比率を引き下げて、景気変動に強いとされる配当が安定的な公共株やインフラ株など、ディフェンシブ銘柄に移行するべきです。

 

一方、債券は景気が悪化すると金利が上昇するので、投資適格債券から質の良いものを短いリレーションで持つようにするのもポイントです。

 

ただし、株式と債券が共倒れになることもあり、実際に2022年1月から6月では、株式・債券を対象にしたファンドのほとんどがマイナスのリターンになっています。反対に高パフォーマンスだったのは、インフレの波に乗ったコモディティ関連のファンドでした。

 

ヘッジファンドには、こういった商品やマーケットの歪みだけを狙うアービトラージファンド、さらには企業のM&Aやリストラを利用してリターンをあげるイベントドリブンなど、リスク資産がダウントレンドでも、それに対応できるオルタナティブファンドもあります。

 

自然災害(台風・洪水・地震など)などで被害を受けた際の補償契約を組み込んだキャットボンド、プライベートレンディングも逆金融相場には活用されやすい金融商品です。

 

いずれにしても、インフレ時とデフレ時では、金融商品を入れ替えてリバランスを実行し、ポートフォリオの価値が毀損しないように努めないといけません。こういったスタンスは個人であろうが機関投資家であろうが変わらないのです。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

※ 本連載は、河野眞一氏、長谷川建一氏の共著書『世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

世界の富裕層が実践する投資の鉄則 誰も教えてくれなかった本当の国際分散投資

河野 眞一、長谷川建一

扶桑社

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