ロシアとウクライナを巡る不透明性
ロシア・ウクライナ戦争のゆくえ
ロシアとウクライナが停戦に至るか、あるいは戦況がエスカレートするか(→たとえば、戦術核の使用)、どちらもあり得ます。停戦の場合には株価上昇となるでしょうし、停戦の前にエスカレートする場合には、その逆となるでしょう。
ウクライナにとっての問題は意志ではなく、能力でしょう。ウクライナの経戦能力は米欧が握っています。徹底抗戦の意志にも関わらず、米共和党がウクライナへの財政支援を絞ったり、バイデン大統領が停戦の仲介を「外交成果」とすることを目論んだり、あるいは、欧州諸国の「支援疲れ」が各国の政局につながって結束が崩れたりして停戦への圧力が生じる可能性も否定できません。
他方でロシアの側は、プーチン大統領が政権を握る限り、意志の面では一歩も引くことはなさそうです。能力の面で追い込まれて、通常兵器が枯渇する場合には戦術核の使用に踏み切るかもしれません。西側諸国がどの程度、ロシアを押し込むのか、ロシアがどの程度、押されているのかをつぶさに見ていく必要があります。
今後の中・露・米の関係は
中国とロシアの関係性もわかりません。中国はロシアを見放しているのか、それは見せかけなのか、ロシアは中国の「属国」となるつもりなのか、それとも、中国とは別の極を構成することを目指すのかが読めません。
また、米国は(1972年のニクソン訪中の意図と同様に)中露が結びつきを強めることを何としても阻みたいでしょう。その場合、米国はロシアを封じ込めるために中国と融和するのか、それともロシアを民主化して中国を封じ込めることを優先するのか、このあたりもわかりません。
いずれにせよ、今後の中露米関係は、世界の「極」の数とパワー・バランス(勢力の均衡)、国際政治そして経済の動きを左右します。
大荒れの世界情勢…日本の不透明性とは
日本の経済政策
アベノミクスが終わるのか、まだ継続されるのかの不透明感が高まっています。金融政策については、黒田総裁は、長期金利の誘導幅を拡大しましたが、これを今後の引き締めに向けての「地ならし」を始めていると考える向きも少なくありません。
財政政策については、岸田総理は防衛増税を打ち出し、ある党幹部は少子化対策で消費増税を打ち出すなど、財政当局による自民党幹部への攻勢が続いているように見えます。
こうしたなか、われわれ有権者はふたたび静かに、金融引き締めと財政緊縮を受け入れようとしているようにも見えます。もし、アベノミクスに頼れないならば、日本株は銘柄選択の重要性が高まります。
岸田政権は解散総選挙を目論んでいる?…日本の政局
現政権は支持率が低迷しており、選挙公約にない増税の決定や経済政策の転換を巡っては、与党の一部からの反発も強まっています。
時期を見て、岸田首相は(たとえば、5月のG7広島サミットの後などに)内閣総辞職や衆院の解散総選挙を決断する可能性もあるでしょう。
新たな総裁選挙となれば、緊縮的な岸田路線を引き継ぐ総裁が誕生するのか、アベノミクスを堅持する総裁が選ばれるのかで、日本経済のゆくえは大きく変わるでしょう。
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重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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