中小企業の経営にも押し寄せる少子高齢化の影響
日本社会の人口構成において少子高齢化がますます進んでいます。中小企業の経営においても、その影響が押し寄せています。
【図表1 事業承継問題】
内閣府の公表によれば、我が国の総人口は、2013年10月1日現在、1億2730万人となりました。そのうち、65歳以上の高齢者人口は、過去最高の3190万人(前年3079万人)で、その総人口に占める割合(高齢化率)は、過去最高の25.1%(前年は24.1%)となっています。これを細かくみると、
・「65~74歳人口」は1630万人で、総人口に占める割合は12.8%
・「75歳以上人口」は1560万人、総人口に占める割合は12.3%
となっています。
また、「15~64歳人口」(生産年齢人口)は7901万人と減少しており、32年ぶりに8000万人を下回りました。
【図表2 高齢化の推移と将来推計】
資料:2010年までは総務省「国勢調査」、2013年は総務省「人口推計」(2013年10月1日現在)、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」の出生率位・死亡中位仮定による推計結果
(注)1950~2010年の総数は年齢不詳を含む。高齢化率の算出には分母から年齢不詳を除いている。
中小企業の社長の高齢化が著しい理由とは?
このような日本社会の高齢化の進行と連動して、社長の平均年齢も、この20年以上一貫して上昇し続けており、2013年には平均58.9歳と過去最高を更新しました。また、社長交代率(過去1年の間に社長の交代があった企業の比率)については、1994年に、4.06%に低下し、その後も低水準が続いています。
【図表3 社長の平均年齢と交代率の推移】
そして、全企業の中でも、特に中小企業の社長の高齢化が著しく進んでいます。
資本金規模別の代表者の平均年齢の推移を見ると、資本金10億円以上の大規模な会社においては、この15年間で、さほど社長の高齢化は進んでいません。これらの会社においては、社長の平均年齢は、1997~2009年までは63歳前後で、ほぼ横ばいであり、2011年に初めて64歳になったという状況です。
これと比較して、資本金1000万円未満の小規模な会社においては、社長の高齢化が年々じわじわと進んでいます。これらの会社においては、1997年においては社長の平均年齢は55.05歳でしたが、それ以降2007年まで上昇し続け、2007年には58.00歳にまで達しています。その後2010年に57.11歳まで下がり、2011年は横ばいとなっています。
大企業においては、組織が複雑重厚であり、もともと社長に就任するまでに長期間を要するので、社長就任の時点で既に高齢であることが通常と考えられます。そのため、従来から、社長の平均年齢が高いものと推測されます。
他方で、中小企業においては、若手経営者による起業や、組織が単純ということがあり、もともと比較的若年で社長に就任するケースが多く、社長の平均年齢が低いと推測されます。しかし、それが年々じわじわと高齢化の一途をたどっています。
【図表4 社長の平均年齢の推移(資本金別、1997~2011年)】