人口構成からみる社会の変化(1)…人口ピラミッドおよび年齢3区分人口構成比からみた変化 (写真はイメージです/PIXTA)

戦後の人口増加から一転、人口減少期へと突入した日本。今後の社会の変化について、ニッセイ基礎研究所の井上智紀氏が考察します。

1―はじめに

総務省統計局「人口推計」によれば、2021年10月1日現在の日本人人口は1億2,278万人、65歳以上人口が占める高齢化率は29.3%に達している。周知の通り、我が国の人口は2000年代半ばに減少に転じており、総務省統計局「国勢調査」の結果を遡ってみると、2020年の1億2,321万人と同水準であったのは、1990年(1億2,328万人)ごろである。

 

一方、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、今後も我が国の人口は減少の一途をたどり、2050年代には1億人を割り込むものと予測されているが、人口が1億人を突破したのは1960年代後半と、奇しくも前回の東京オリンピックが開催されていた頃と重なっている。当然のことながら、60年近く前である1960年代後半と2050年、30年ほど前の1990年ごろと現在とでは、人口の規模が似通っていたとしても、社会経済環境をはじめ、人々の生活全般に至るまで、社会のあり様はまったく異なる。

 

しかし、我々の意識の面では、当時の社会環境に紐づく価値意識が固定観念となって、足元の、あるいは、今後の社会の姿に対する理解の妨げとなっている側面もあるのではないだろうか。

 

そこで本稿では、こうした時代背景の差異の一端として、人口構成に着目し、総務省統計局「国勢調査」における1965年と1990年、2020年の人口および国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」における2030年の推計人口の4時点間を比較してみたい*1

 

*1:最新の国勢調査の結果に基づく国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響から、2023年前半の公表を予定されていることから、本稿では参照できない。また、推計の前提となる基礎データと、足元の出生・死亡といった人口動態との間には相応の乖離が生じている可能性もあることから、最新の推計人口が公表されたとしても、推計結果については慎重に見ていく必要があるものと思われる。

 

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    ニッセイ基礎研究所  生活研究部 主任研究員

    ・1995年:財団法人生命保険文化センター 入社
    ・2003年:筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻修了(経営学)
    ・2004年:株式会社ニッセイ基礎研究所社会研究部門 入社
    ・2006年:同 生活研究部門
    ・2018年より現職
    ・山梨大学生命環境学部(2012年~)非常勤講師
    ・高千穂大学商学部(2018年度~)非常勤講師
    ・相模女子大学(2022年度~)非常勤講師

    所属学会等
    ・日本マーケティング・サイエンス学会
    ・日本消費者行動研究学会
    ・日本ダイレクトマーケティング学会
    ・日本マーケティング学会
    ・日本保険学会
    ・生命保険経営学会

    ・一般社団法人全国労働金庫協会「これからの労働金庫のあり方を考える研究会」委員(2011年)

    著者紹介

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    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年12月26日に公開したレポートを転載したものです。

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