いま注目を集めるフィットネスジムの「無人運営」
現在フィットネス業界では、24時間営業、個室制などの特徴を備え無人ジム経営がトレンドとなっています。その背景としては、もちろん、三密を避け、人との接触を極力減らしたいという、コロナ禍のなかですでに定着した人々の意識の変化があることは間違いありません。
これに加え、フィットネスという分野ならではの特徴として、昼夜を問わず自分の好きな時間にトレーニングしたい、セルフトレーニングのみを目的に施設や器具を利用したい、ポージングなどの練習中は人に見られたくない、トレーニング中の写真を撮ってSNSにアップしたい、大規模な総合型のジムは会費が高い、とにかく格安な会費で施設を利用したい、などユーザーニーズの多様化が大きな要素となっているようです。
また、事業者側においても、運営を無人化することで人件費を抑制しつつ、さらに施設の予約・入退室管理、セキュリティ確保などの面で、デジタル技術などを活用した先進的な運営手法を取り入れることによって、効率のよい経営を実現できるというメリットがあります。
「無人ジム経営」はトラブルやリスクが多い
原則としてスタッフが常駐しない無人ジムには、有人の施設とは異なるトラブルやリスクがつきものです。ジムの無人運営におけるトラブルや解決方法についてご紹介します。
よくあるトラブル1.「入退室」
無人ジムの運営で1番のポイントとなるのが、施設の入口は常時施錠し、会員や予約者が利用する際にのみ入室できるようにする必要があるということです。
会員や利用者とのあいだでなんらかの方法で施設の鍵の受け渡しを行う必要があり、その選択肢としては、従来的な鍵(物理鍵)を使用する、スマートロックなど物理的な鍵が不要となる方法を導入する、などがあります。
物理鍵は、会員にその都度鍵の受け渡しを行なわなければならないという点で、無人運営に適さないと考えられます。運営方針によっては会員の入会時に鍵を渡し切りにする方法も考えられますが、その場合も、施設の不正利用を誘発したり、紛失の際にはドアの錠の部分まで取り替えなければならない、などの懸念が生じます。
一方、スマートロックには、さまざまなタイプがあり、オンラインで遠隔地からでも鍵管理・入退室管理が可能な、無人運営に適したシステムを選択することが可能です。解錠の方式だけを見ても、主に次のようなタイプがあります。
B:カードキーやICカード……事前に権限を登録したカードをかざして解錠
C:暗証番号(テンキー)……現地のテンキーリーダーに暗証番号を入力して解錠
スマートフォンやカードキーは1度慣れれば解錠はスピーディで、ドアノブ周りへの接触頻度が少ないため、特に入退室の頻度が多い場合などに便利です。
他方、スマートフォン解錠は、初めての利用や入室頻度が少ない場合、スマートフォンの操作が難しかったり、アプリをダウンロードする必要があって逆に面倒だと感じることも少なくありません。BluetoothやWi-Fiなど通信の不具合によって入室できないといったトラブルもあります。また、カードキー解錠では、初期にカード作成の費用がかかるうえに、紛失の心配がついて回ります。紛失した場合は再登録・再発行の手間や費用もばかになりません。
その点、暗証番号を利用した方式は、誰にでもシンプルでわかりやすく、カード作成の手間も紛失の心配もありません。スマートフォンのように通信のトラブルによる影響もありませんし、そもそもスマートフォンを持参する必要もありません。
それ以外の面でも、さまざまな特徴を備えたスマートロックのシステムが各社から提供されていますので、施設の運営方針も念頭に置きながら比較検討されることをおすすめします。