ホテルは「省人・無人運営」が可能
省人・無人運営の際に気を付けるべきこと
実はホテル運営の無人化・省人化はハードルが高いものではありません。ホテル業務のIT化、つまり、 ホテル管理システム(PMS)や、自動チェックインシステム、そしてスマートロックなどの電子キーを連動させることで、無人運営は既存のホテルであっても意外と簡単に実現できます。
完全な無人運営が実現すると、フロント業務の効率化が進むだけではなく、従来からのホテル運営の課題であった「鍵」の紛失などのトラブルがなくなり、ゲストの入室管理や客室の使用状況などもオンライン上で管理することができます。これにより、人件費削減によるコストダウンや事務的な作業が大幅に削減できることで従業員の満足度の向上も期待できるでしょう。
他方で、一般的にスタッフが常駐するホテルの場合、エントランスは24時間開放していることが多いですが、無人運営の場合、エントランスの開放は安全性の面で望ましくありません。人の目による監視がなくなることで「宿泊者以外の不正な侵入」というリスクが発生するためです。そのため、せっかくホテルの受付業務を自動化できたとしても、宿泊者や関係者以外の不正な侵入を防ぐためだけにコストの高い夜間スタッフを配置する施設もあります。
では、無人運営のホテルが不正な侵入者を防ぐためにはどのような方法があるのでしょうか。
不正な侵入者を防ぐにはどうすればいい?
侵入者を防ぐ方法1.エントランスのオートロック化
不正な侵入を防ぐ方法としてまず考えられるのが、エントランスのオートロック化です。エントランスのオートロック化とは、文字通りエントランスを常時施錠状態にすることであり、入館するための鍵の権限(たとえば暗証番号など)を持った人しかホテル内に入れないようにすることです。
宿泊者にとって利便性が高い方法として、エントランスと客室の電子キーを連動させて、宿泊客は利用する客室と同じ暗証番号を使ってエントランスの解錠ができるアクセスコントロールシステムがあります。
こうした客室とエントランスの鍵情報を連動できるアクセスコントロールシステムを使うことで、たとえば、
【宿泊者/ホテルへ入館時】メールで受け取った暗証番号で入館
【宿泊者/客室へ入室時】セルフチェックイン時に表示された暗証番号で客室を解錠
【宿泊者/外出からの戻り時】客室と同じ暗証番号でエントランスの解錠
といったことが可能になります。
これにより、宿泊者に限り入館できるようになり、かつチェックイン後にしか客室に入れないため、宿泊者情報の取得漏れも防ぐことができます。さらに、セキュリティの向上により、コストが割高となる夜間スタッフの配置が不要になるなど、大幅な人件費削減も期待できるでしょう。
「日中:有人、夜間:無人」など時間によって使いわける方法も
ホテルによっては時間帯によって無人化するケースもあります。もっとも多いのは日中のチェックインがある時間帯はフロントスタッフを置き、深夜帯はスタッフ無人になるようなケースです。
この場合、日中はエントランスを開放しておき、夜間だけオートロックにするという方法があります。この場合、エントランス用の暗証番号の事前送付は不要となり、ゲストはチェックイン後に外出して深夜に戻る場合は、客室と同じ暗証番号でエントランスを解錠します。
<エントランスをオートロック化にするメリット>
・宿泊客以外のホテルへの立ち入りを物理的に防止することが可能になる
・宿泊期間だけ使える有効期限付きの暗証番号を発行できる
・スタッフがホテルにいなくても、宿泊客の入室状況はオンラインで把握することができる
・エントランスと客室の解錠には同じが暗証番号で行えるので、宿泊客の利便性が向上する
・セルフチェックインシステムと連動することで完全な無人化を実現できる
・人的コストの削減や、フロントの作業効率アップにつながる
・物理キーを使用しないので、鍵を管理する手間を省き、紛失や複製トラブルがなくなる