【本稿の登場企業】
●大塚家具…家具の小売や法人への内装・家具等のトータルコーディネート事業を展開。
●ライフネット生命保険…インターネットで完結する各種保険契約を提供。
赤字には「質の良い赤字」「質の悪い赤字」がある
赤字には理由があり、その理由如何によっては、必ずしも赤字だから悪いわけではありません。
このように、赤字の中には質の良い赤字・悪い赤字があります。質を判定するには、単に決算書に目を通すだけではなく、その会社のビジネスモデルを理解したうえで判断しなければならないケースが往々にして存在します。
今回は、大塚家具とライフネット生命保険の2社を題材に、どのように「赤字の質」にアプローチしていくべきなのかを見ていきましょう。
Q. 赤字の「質」がいいのはどちらの会社?
銀行員さん「赤字の状況というのは、営業の方も意識されるんですか?」
営業さん「え? そうですね。営業を仕掛けるにあたって、下準備としてその企業の状況を確認しておくことは必要だと思いますが…。」
学生くん「ということは、赤字の会社には営業しない方がいいんですか?」
投資家さん「うーん、予算をかけるかどうかの話だから、投資フェーズの企業なら赤字でも予算が出せる可能性はありそうだよね。」
大手町さん「じゃあ、今回は赤字の『質』について見ていこう!」
大手町さん「図表2は、ともに赤字の企業だった大塚家具とライフネット生命保険、経常損失のグラフ推移だよ。この2社のグラフを見て、みんなどのようなことを思うだろうか? それぞれ、好きに考えを述べてみてほしい。」
学生くん「自分が取引先だったらと考えると、赤字が大きい会社は取引先として倒産する可能性があるから、長期的な関係性を築けないような気はしてしまいますね。」
営業さん「赤字は確かに気になりますが、赤字ということは費用をたくさんかけているということでもあると思うので、一概には言えないのではないかなと思います。」
銀行員さん「ライフネット生命保険の方は赤字自体が拡大していますが、大塚家具の方は赤字が収まっているように見えるので、もしかしたら回復傾向なのだろうか、と見えました。」
学生くん「というか、何かあったら守ってもらうための保険会社でこんな赤字が出ていたら、何かあった時に心配になっちゃうんですけど、大丈夫なんですか?」
営業さん「そうですね。そもそも『赤字が拡大している理由』を考えないといけないのかもしれません。」
投資家さん「大塚家具って小売業だから、商品を売った瞬間にお金が入るけど、ライフネット生命保険は毎月加入者からのお金が定期的に入るわけだよね。そもそも売上の入り方が違うんじゃないかな?」