(※写真はイメージです/PIXTA)

世帯主が亡くなった場合、世帯主変更届を出す必要があります。非常に重要な手続きであり、滞ると様々な不都合が生じるため注意が必要です。書き方や提出先等について整理しておきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

世帯主変更届…「提出先・提出期限・提出する人」は?

生徒:先生、世帯主である父親が亡くなって相続が発生した場合、世帯主変更届は必要ですか?

 

先生:世帯主が亡くなったときには、世帯主変更届の提出が必要です。ただし、必ずしも全員がこの手続きをおこなわなければいけないわけではありません。死亡した世帯主の家族が15歳未満の子どもである場合や、妻だけである場合には必要ないのです。

 

生徒:世帯主変更届は、いつまでに提出するのでしょう?

 

先生:世帯主変更届は、世帯主が亡くなったときから14日以内に提出する必要があります。

 

生徒:14日ですか! かなり短いのですね。どこに提出すればいいのでしょうか?

 

先生:世帯主がお住まいだった市区町村役場への提出が必要です。お住まいの場所によっては、役場の支所や、出張所などでは取り扱っていないケースもあるので、電話で事前に問い合わせをしておくのがよいでしょう。

 

生徒:世帯主変更届は、誰が提出してもよいのですか?

 

先生:世帯主変更届を提出できるのは、新しく世帯主になった人、同じ世帯のご家族の人だけです。ただし、委任状を提出すれば、代理人が申請することもできます。

 

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世帯主変更届は、どんな用紙を使用する?

生徒:世帯主変更届の書き方を教えてください。

 

先生:世帯主変更届の用紙は、「住民異動届」と書かれたものです。市区町村役場に用意されています。転入、転出などの共通の用紙になっているはずなので、「届出の種類」の欄で「世帯主の変更」を選択してください。

 

生徒:大変そうですね。細かいことですが、世帯主変更届を提出する際に、どのようなものが必要になるか教えてください。

 

先生:たくさんありますよ。窓口に備え付けられている届出書、「運転免許証・マイナンバーカード・パスポート・健康保険証」などの本人確認書類、そして印鑑が必要です。代理人が申請する場合は、委任状が必要となります。必要なものを事前に揃えておくようにしましょう。

世帯主変更届は「社会保険」「税金」にどう関係する?

生徒:世帯主変更届のほかに、公的な手続きで必要なものはありますか?

 

先生:健康保険については、社会保険の資格喪失手続きをおこなう必要があります。亡くなった世帯主が会社員として働いていた場合、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出することになります。

 

生徒:会社員であれば、勤務していた会社と連絡をとる必要があるということですね。

 

先生:そうです。健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は、亡くなった世帯主が勤務していた会社が、資格喪失の処理をおこないます。そのため、新しい世帯主は会社の担当者と連絡を取り合い、手続きを進めることになります。

 

生徒:自営業や無職の場合はどうでしょうか?

 

先生:自営業の方や、無職の方の場合は国民健康保険に加入していたはずです。その場合は、「国民健康保険資格喪失届」を市区町村役場に提出することになります。死亡した世帯主が75歳以上の場合、後期高齢者医療保険制度に加入していたはずなので、「後期高齢者医療資格喪失届」を提出することになります。

 

生徒:自営業や無職の場合の提出先は、市区町村役場ですね。それぞれ手続きの仕方が異なるのですね。

 

先生:はい。これらの保険加入者だった場合には、新しい世帯主またはご親族が喪失届を提出して、保険証などを返却する必要があります。これも同様に、世帯主がお住まいだった市町村役場へ提出します。届出書は、市区町村役場の窓口に置いてあるので、そこで必要事項を記入すればいいですね。

 

生徒:忘れていたなどの理由で、社会保険関係の届出をおこなわなかった場合はどうなってしまうのでしょう?

 

先生:手続きを忘れると、国民健康保険などに加入したままの状態となり、健康保険料が取られ続けてしまうこともあります。そうならないために、喪失手続きを忘れずにおこなう必要があります。

 

★世帯主の手続きについてはこちらをチェック

世帯主変更届の提出先・提出方法・提出期限を徹底的に解説(提出が必要ない場合も)

世帯主が死亡したときにおこなう手続き、6つ

生徒:世帯主が亡くなったときの手続き、多すぎて覚えきれません!

 

先生:「世帯主変更届」は理解できましたね? それ以外の手続きとして、大きくまとめると、以下の6つの手続きがあります。

 

①死亡届の提出

②火葬許可証の受取

③携帯電話の解約

④水道光熱費などの公共料金の名義変更

⑤相続財産の名義変更

⑥年金受給停止の届出

 

これらの手続きがすべて必要になるので、覚えておいてください。

 

生徒:6つもあるのですね! 手続きを忘れると、どんなデメリットがあるのでしょう?

 

先生:携帯電話の解約を忘れたら、何カ月も携帯代金が引き落とされてしまいます。忘れずに、ご家族が携帯会社の窓口へ行き、解約手続きをおこなわなくてはなりません。よくあることなので注意が必要です。

 

生徒:これらの手続きは、どこでおこなえばよいのですか?

 

先生:市区町村役所で手続きをすることになるのが、「死亡届の提出」と「火葬許可証の受取」です。「年金の受給停止」は年金事務所でおこない、相続財産の名義変更はそれぞれ契約している会社でおこなうことになります。

 

生徒:忘れてはいけない重要な手続きばかりですね。

 

先生:世帯主が突然亡くなった場合、動転して気が回らないこともあるでしょう。しかし、世帯主変更届や相続財産の名義変更は必ずおこなわなければなりません。

 

生徒:相続手続きって本当にたいへんですね…。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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