(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、一時米ドルが大きく売られる場面もみられましたが、直近の米ドル安値1ドル133円は割り込むことなく、新たな方向感の出る展開とはなりませんでした。そのようななか、「1ドル151円」をピークに終焉を迎えたと考えられている円安相場について、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は一定の警戒感を指摘します。それはなぜなのか、みていきましょう。

「対ユーロでの米ドル安」が止まらないワケ

以上見てきたように、対円での米ドル安は一段落した可能性がありますが、一方で対ユーロでは先週もこの間の米ドル安値更新が続きました。ユーロ/米ドルは、一時6月以来の1.06米ドルを超えるユーロ高・米ドル安となりました。

 

これは、金利差ユーロ劣位縮小の影響が大きいでしょう。

 

独米2年債利回り差ユーロ劣位は、15日のECB(欧州中央銀行)金融政策決定会合以降の独金利上昇を受けて、2月以来の水準まで一段と縮小しました(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2022年5月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

FRBが利上げ幅を縮小するのに対し、今後はECBの利上げ幅がそれを上回るといった見通しの影響が大きいでしょう。

 

基本的には連動性の強い長期金利も、先週は独10年債利回りと米10年債利回りがほとんど逆方向へ動く結果となりました(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米独の10年債利回りの推移(2021年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上のような対ユーロでの米ドル安の動きがどこまで続くかは、米ドル/円にも影響する可能性があるため、引き続き注意が必要でしょう。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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