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経営陣と株主の間で行われる委任状の争奪戦である「プロキシーファイト」。その流れや事例をみていきましょう。

交渉が決裂した場合

株主と会社との間で行われる交渉が決裂し、プロキシーファイトが始まると、株主は委任状を集め始めます。株主の動きを静観していては、株主提案が可決しかねないため、会社側も委任状を集め対抗しなければいけません。

株主から委任状を集める争奪戦へ

他の株主から委任状を受け取るには、まず連絡を取り話を聞いてもらわなければいけません。そのために株主名簿の『閲覧権』を行使して、他の株主の名前と住所を調べ、この情報をもとにアプローチします。

 

実行するためには、ノウハウを持つメンバーで構成するチームが必要です。株主が委任状を集めるには、他の株主へ自らの提案の合理性を知らせ賛同してもらわなければいけません。そのために資料の作成・説明会の開催・プレスリリースなど、種々の手段を講じます。またさまざまな法律問題とも関わるため、弁護士のサポートも必要です。

会社側も委任状を集める

株主側だけが委任状を集めていると、株主提案が可決される可能性が高まります。そこで会社側も委任状を集めなければいけません。ただし会社が集めるのは、一般的には議決権行使書です。

 

株主へ議決権行使書を送付し、会社提案の議案への賛同を求めます。このとき株主の賛同を得られやすいよう、株主の利益を意識した経営方針へと転換する会社もあるでしょう。ただし株主の利益を重視し過ぎると、将来的な発展のために必要な投資を十分にできなくなる可能性があります。これではいつか他社との競争に負けてしまうでしょう。会社の成長に必要な施策と株主への還元とのバランスを意識しなければいけません。

プロキシーファイトのポイント

プロキシーファイトは、単に多くの委任状を集めればよいわけではありません。法律で定められている内容にのっとって実施します。また裁判所への検査役選任の申し立ても必要です。

委任状勧誘、書面投票などの規制に従う

議決権の代理行使をするよう他の株主を勧誘することを『委任状勧誘』といいます。上場会社で委任状勧誘を行いプロキシーファイトを実施する場合、金融商品取引法に定められている規制に従わなければいけません。

 

たとえば『委任状用紙の様式』『参考書類』『写しの提出先』『虚偽記載の禁止』などが定められています。このような規制があるのは、決議に株主の意思を反映させるためです。会社経営に無関心な株主の委任状を集め、不当に会社を支配させないようにする目的もあります。ただし非上場会社の委任状勧誘は規制の対象外です。

検査役選任を申し立てる

株主総会前に裁判所へ『検査役』選任の申し立てを行うのも、ポイントといえます。申し立てできるのは1%以上の議決権を持っている株主です。

 

検査役が選任されると、株主総会の招集や決議の方法を調査し報告書を提出します。この報告書は、正しいプロセスで開催された株主総会だという証拠となります。仮に『決議取消訴訟』の提起で決議の有効性が争点となったとしても、確かな証拠の提出が可能です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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