(※画像はイメージです/PIXTA)

政府・与党が、2023年度税制改正大綱において、投資の運用益が一定限度で非課税となる「NISA」の拡充を盛り込む方針であることが明らかになりました。岸田内閣の「資産所得倍増計画」の一環ですが、そもそも投資は余剰資金で行うものであり、それを準備できない人はどうすればよいのかという問題が残ります。NISA拡大の中身と、その意義・問題点について解説します。

政府・与党の「NISA拡充案」の概要とは?

明らかになったNISA拡充案のポイントは主に以下の4つです。

 

・「つみたてNISA」と「一般NISA」の一体化

・制度の恒久化

・非課税期間の無期限化

・非課税枠の拡大

 

◆「つみたてNISA」と「一般NISA」の一体化

第一に、「つみたてNISA」と「一般NISA」の一体化です。現在はいずれか一方しか選べませんが、新制度では、現行の「つみたてNISA」にあたる枠と「一般NISA」にあたる枠を併用できるようになります。

 

◆制度の恒久化

第二に、制度の恒久化です。

 

現状、「つみたてNISA」は2042年まで、「一般NISA」は2023年までの時限措置となっています。しかし、新制度ではこのような制限を撤廃します。

 

◆非課税期間の無期限化

第三に、非課税期間の無期限化です。

 

現状は「つみたてNISA」が最長20年、「一般NISA」が最長5年となっています。この期限を撤廃することで、長期的に保有するメリットをより享受しやすくするということです。

 

すなわち、株式等の金融商品は、騰落を繰り返します。したがって、短期的に「含み損」を抱えることは避けられません。

 

しかし、長期的にみると経済は成長するので、騰落に関係なく淡々と何も考えずひたすら投資を続けていけば、長期間では着実に資産を増やしていける可能性が高いのです。

 

そこで、非課税期間を区切らず、無期限とするという方向性が示されました。ただし、この次に述べるように、「年間の投資上限額」と、「生涯の投資上限額」が設けられます。

 

◆非課税枠の拡大

最後に、非課税枠の拡大です。まず、NISA全体で、以下の枠が設けられます。

 

・年間の投資上限額:360万円

・生涯の投資上限額:1,800万円

 

次に、年間の投資上限額360万円のうち、2つの枠が設けられます。それぞれ投資対象が異なります。

 

・つみたて枠(上限年120万円):現行の「つみたてNISA」と同じ比較的低リスクの金融商品に投資

・成長投資枠(上限年240万円):現行の「一般NISA」と同じ広範な金融商品に投資

 

もちろん、「成長投資枠」で「つみたて枠」の金融商品に投資することもできます。

 

したがって、ごく大ざっぱに整理すれば、全体について現行の「つみたてNISA」を原則とし、うち一部について現行の「一般NISA」と同じもので運用することが認められるということです。

次ページNISA拡充に潜む危険性とは?

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