3.推進フェーズ
現場の声を交えて推進する
具体的にどう実現するかを考え実行していくのが推進フェーズですが、トヨタではウーブン・シティの開発に大きく3つのテーマを設定しています。それがサービス開発(Service Development)、製品開発(Product Development)、顧客体験の開発(UX Development)です。現場責任者を交えて、それぞれの分野で最適な方法で推進しています。
サービス開発部門では、自動運転の配送ロボットを使った物流サービスの開発を実装しているとのこと。地下の専用道路を通り各家庭に配送を実施する計画です。この自動配送で特徴的なのは、荷物の積み下ろしは人の手で実施するように設計されていることです。「完全に自動化すると人の目が入らないため改善の余地がなくなる」 というのが、その理由でした。こうした考え方は、現場で実際に考えないと出てきません。推進フェーズでは現場の声がとても重要ということを、ご理解いただけると思います。
現場の開発工程によりスムーズに取り組むための方法として、各開発現場にデジタルツイン(リアルを再現した仮想空間)も導入されており、リアルと同じ環境を何パターンも再現することで現場の仕事が進みやすいよう配慮されているのも、推進していく社員にとってはうれしいインセンティブと言えるのではないでしょうか。
日淺 光博
DXコンサルタント
株式会社日淺 代表取締役社長