2.計画フェーズ
ビジョンを実現可能な形に見える化する
このコンセプトを体現する1つの形として現れたのが、富士の裾野に広がる実験都市“ウーブン・シティ”です。トヨタの自動運転など先進領域の開発を統括するウーブン・プラネット・ホールディングスが手掛けます。このホールディングスのシニア・バイスプレジデントとしてウーブン・シティを手掛けるのが、DX推進役である章男氏の長男・豊田大輔氏です。
“コネクティッド・シティ”というコンセプトから「具体的にどのような都市にしていくか」「そもそも都市をつくるとはどういうことか」の計画化が始まりました。街に住む人々、パートナー、運営者のそれぞれにとってよい街をつくり上げるために、ウーブン・シティでは次のような未来を具体的に描ききっています。
ウーブン・シティのおもな構想
■道路を3つに分類し、それらが網の目のように織り込まれた街をつくる
1.完全自動運転かつゼロエミッションの高速モビリティのみが走行する道
2.歩行者と低速パーソナルモビリティが共存するプロムナードのような道
3.歩行者専用の公園内歩道のような道
■街の建物は、おもにカーボンニュートラルな木材でつくり、屋根には太陽光発電パ ネルを設置するなど環境との調和やサステナビリティが前提の街づくりを行う
■暮らしを支える燃料電池発電も含め、この街のインフラはすべて地下に設置
■住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証するほかセンサーのデータを活用するAIにより、健康状態をチェックしたり日々の暮らしに役立てたりするなど、生活の質を向上させる
■e-Palette※は人の輸送やモノの配達に加えて、移動用店舗としても使われるなど、 街のさまざまな場所で活躍
※ e-Palette:自動配送ロボット
(引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/31170943.html)
■街の中心や各ブロックには、人々の集いの場としてさまざまな公園・広場をつくり、 住民が繋がり合うことでコミュニティが形成されることも目指す
立ち上げフェーズで描いた未来と現在をひもづけて、道筋を「見える化」するのが計画フェーズです。トヨタの場合、ウーブン・シティは未来に向けてどんな構想があり、そのために何が始まり発展していくのかを明確にし、顧客、共同パートナー、 従業員がワクワクするだけではなく将来のイメージを共有できるようにすることで、 構想を具体的な計画に落とし込んでいます。