スピンアウトの注意点
コア事業に資産を集中させやすくするため、積極的にスピンアウトで事業を独立させるケースが増えています。ただしスピンアウトの影響は、よいものばかりではありません。社員の抱く不満や資金調達時の注意点も確認しておきましょう。
社員が不満を抱く可能性がある
母体の企業も独立した新会社も、社員の不満が噴出し退職者が大勢出る可能性があります。母体の企業では、これまであった事業がなくなり、コア事業に人材を集中させます。
中には、スキルを十分生かしきれない配置転換を実施せざるを得ないケースもあるでしょう。加えてスピンアウト後のイメージが共有されていなければ、社員のモチベーションが低下し、退職の原因となるかもしれません。
一方、独立した会社の人材は、母体の企業からの転籍者がほとんどです。中にはキャリアプランが計画と変わったことで、やる気を失い退職を希望する人も出てくるでしょう。社員の不満への対策には、モチベーションを維持する施策の実施が必要です。
外部から資金調達する場合
スピンアウトにより新たに設立した会社は、外部からの資金調達をしやすくなります。例えば投資ファンドや投資家からの出資も受けやすいでしょう。より多くの資金を調達できれば、新商品の開発や大掛かりな設備投資・人材の確保などもでき、事業を大きく展開していけます。
ただし『株式比率』には注意しましょう。投資ファンドや特定の投資家が多くの株式を取得すると、経営に介入される可能性があります。スムーズな意思決定ができず、思うような事業展開ができなくなるかもしれません。
適切な事業展開の手法を検討しよう
特定の事業を独立させるスピンアウトを、企業価値の向上に役立てるケースが増えています。現時点で採算の取れていない事業を独立させ、コア事業に資金や人材を集中させる動きです。
事業を会社分割により独立させ株式を買い手へ売却する手法では、独立させた会社を丸ごと承継させます。一方、引き継ぐ資産や負債を選択できる事業譲渡によって、スピンアウトが行われるケースもあるでしょう。
どちらの手法であっても、社員の不満への対策や、資金調達時の株式比率への注意は欠かせません。加えて会社分割や事業譲渡をするときには、売り手に税金がかかります。
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