調査結果まとめ
研修を無駄だと感じる2つのパターン
今回の調査結果から、過去に受けた研修を無駄だと思ったことがある人は半数以上にのぼることがわかりました。無駄だと思った理由として最も回答が多かったのは「すでに知っていることだったため」50.3%で、次いで「関わっている業務で役にたつ場面がなかったため」47.9%でした。
これは、研修を選定する担当者が現場社員の能力や業務内容を十分に把握できていないことが主な要因だと考えられます。特に、研修を選定する担当者が他部署である場合にこういったことが起きやすくなります。
一方で、研修の選定は悪くなくても、受講者の意識が低いことで、結果的に研修が無駄になってしまうパターンも考えられます。たとえば、オンライン研修中に「ながら作業」をしたことがあるかどうかを聞くと(Q6)、管理職・一般職ともに6割以上が「ある」と回答しました。当然、「ながら作業」をすると集中力が落ちるため、たとえ研修内容が良くても、それが受講者の記憶に残っていない可能性があります。
効果があったという“錯覚”にも注意が必要
さらに注意が必要なのは、受講者本人は研修に満足し成長した気分になっているが、実際にはなにも変わっていないというケースです。多くの人は「新しい知識を獲得すれば変われる」「専門家から話を聞けば変われる」と考えます。
しかし、実際には人は「経験」とともにしか成長しません。研修で得た知識は、それを実践して経験することを通してのみ役にたち、自分の実力となります。いくらセミナーの帰り道で自分が変わったような気になっても、研修を受けただけではまったく意味がないということです。この点も研修を受けさせる側の担当者は気を付けなければいけません。
研修の効果を最大化するためには?
そのうえで、研修の効果を最大化させるポイントは大きく2点です。
1点目は、研修の目的や大まかな内容を事前に共有することです。これは、その研修が既に知っていることであったり、業務で役にたつ場面がなかったりする場合、事前に本当に必要な研修なのか気づけるようにするためです。また、目的を言語化しておくことで、その研修に効果があったかどうかを後々評価することもできます。
2点目は、研修終了後に取る行動を明確に指示しておくことです。たとえば「研修が終わったらその日のうちに、学んだことを業務にどう活かすかレポートしてください」などの指示です。こうして、「ながら作業」ができないような状態にすることで、研修に集中してもらう環境をつくることができます。さらに、研修を受講しただけで成長したと感じる錯覚も防ぐことができます。研修終了後は、できる限り早く業務で経験を積ませることがポイントです。