タイ人は外交政策に関心がない?
ウクライナとロシアの紛争、中国と台湾の緊張状態、あるいはミャンマー情勢は、タイに住む人々にとって遠い国の出来事で、無関係に思えるのかもしれない。多くのタイ人は、タイの外交政策が自分たちの生活にある程度影響を及ぼしているとは想像もしていないようだ。なぜ外交政策に関心を持たなければならないのか、疑問に思う人もいるかもしれない。
その答えを見つけるために、Thai PBS Worldはアジア・ニュース・ネットワークと協力して、11月24日にバンコクのスコソルホテルで「タイの外交政策・地域政治とメディア」というフォーラムを開催した。第1回のテーマは、「2023年以降におけるタイ外交政策の課題」である。
参加者は、アピシット・ウェーチャチーワ前首相、元外務事務次官のシハサク・プアンケトケオ氏、タイ政府安全保障顧問のパニタン・ワッタナーゴーン博士、タイ商科大学国際貿易研究センター長のアット・ピサンワニッチ博士の4名だ。司会は、タイ公共放送サービス(Thai PBS)のニュース担当シニアディレクター、テプチャイ・ヨン氏が務めた。
タイは、ASEANにおける極めて重要な役割を失った…
アピシット前首相は、タイの外交政策について「継続性を重視し、どちらかといえば保守的な、これまでと同じ前提に基づいた政策を今もとっている」と見解を述べた。「私たちの外交政策は、安全保障であれ経済であれ、常に国家の利益を考慮しなければなりません。しかし、それは結果として目先の利益にばかり注目することになる。いかなる新しい影響も避けようとすることにつながるのです」とアピシット氏は語った。
またシハサク元外務事務次官は、ASEANに関して、「タイはこの地域のリーダー的存在だったが、今はその名誉ある地位を失ってしまった」と語った。「国際舞台においてあらゆる意味でタイを上回った国は、インドネシア、シンガポール、ベトナムであり、タイは現状、明らかに4番手である」(シハサク氏)。
さらに、「これはある事実を可視化している。それは、我々が『戦略的重要性』を失いつつあるということだ。まともな外交政策を行うためには、戦略的重要性の感覚を常に持たなければならないからだ」とも話した。