(※写真はイメージです/PIXTA)

個人事業を含む中小企業の多くは創業者の死後、息子や娘など身内に事業を承継しています。しかし、創業者が「どうせ子供に承継するから」と安易に考えて準備を怠ると、遺された後継者が苦労すると、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。創業者である父の死後、1,200万円の借金が発覚した後継者・Tさんの事例をみていきましょう。

順調に承継準備も…思わぬ「落とし穴」があったTさん

中小企業庁「令和3年中小企業実態基本調査」によると、日本の中小企業の社長(個人事業主)の就任経緯別構成比は、「創業者」が49.5%、「親族内での承継」が40.6%となっています。

 

つまり、個人事業を含む中小企業の半数以上は、創業者が事業を継続し、また、多くの企業は、身内に承継していることが読み取れます。

 

しかし、創業者が息子に事業を承継すると安易に考え、その準備を怠ると、後継者の家計にトラブルが起きることがあるのです。

 

Tさんは、4ヵ月前に父親を亡くしました。父親は、従業員8人の町工場「株式会社T製作所」の創業者で、創業以来40年近くこの会社を経営していました。この会社の専務取締役であったTさんは、近々、代表取締役社長に就任する予定です。

 

父親はTさんに「俺が生きているうちは俺の考えで工場を動かす。死んだらこの工場はお前に任せる。そのときは好きにやればいいけど、従業員のみんなとはうまくやれ」と言い、まさに町工場の頑固おやじそのものだったといいます。

 

その言葉を受け、Tさんは、技術的なことは熟練した従業員に、また経理は経理担当や取引先の銀行担当者、会社の顧問税理士に教えてもらい、また経営セミナーを受講するなどして承継の準備を進めているところでした。

 

そして、父親が亡くなり会社の承継がスタート。自社株など会社関係の承継は顧問税理士に依頼しており、「順調に進んでいる」と経過報告を受けていました。

 

また、Tさんは、若干相続税の納付があるかもしれないと思いながら準備はしてこなかったものの、父からの遺産相続も問題なく終えると思っていました。

 

しかしその「準備不足」があだとなり、家計に影響をおよぼしかねない思わぬ問題が判明。筆者のところに相談に来ました。

 

次ページ聞いてないよ…父親に1,200万円の借金が発覚

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録