想定は60万人、結果は160万人…
ウランバートルは1950年に60万人の人口を想定して計画された都市だった。しかし、わずか20年後に移住者が激増し、当初想定より約20万人も増加した。その後も人口は増え続け、現在、ウランバートルの公式登録人口は160万人となっている。
2019年から2021年にかけて、ウランバートルに移住した人の数は7万8,000人に達した。具体的には、2019年に1万3,000人、2020年に3万9,500人、2021年に2万5,700人の市民が移住し、ウランバートルの市民となっている。
ウランバートル市長 D・スミヤバザル氏:「都市と農村のバランスを保つことが開発の主な課題である」
ウランバートルは、都市と農村の発展バランスと、都市の発展目標を組み合わせた分権化という「ソフト政策の実施」が優先課題となっている。そこで、ウランバートル市長のD・スミヤバザル氏に、このテーマについてインタビューを行った。
国家全人口の約半分が首都に集中
──ウランバートルの都市と農村の発展バランス、また過疎化問題について、ご意見をお聞かせください。
ウランバートルでは、過密、交通渋滞、学校や幼稚園不足の増加、道路や橋の負荷が3倍になっているなどを主な問題として抱えています。ウランバートルの人口は現在160万人で、未登録者や頻繁に出入りする人を含めると、約170万人に達します。
ウランバートルの人口は、機械的に年平均4万5千人増加しています。また、自動車の消費量も年間8万台ずつ増えています。このような成長に、私たちの開発は追いついていません。都市と農村のバランスをとることが、今後の開発の大きな課題です。
地方で活動する企業を適切な税制で支援することは、人々が地方で生活するための条件と基盤を作ることにつながります。これらを基本に政策を展開することで、340万人の人々(モンゴルの全人口)が平等に、そしてアクセスしやすく暮らせる条件が整うのです。その結果、首都圏の抱える問題は徐々に解決されていくでしょう。
「ウランバートル2020-2050総合開発計画」
──ウランバートルの集中化を解消するために、具体的にはどのような取り組みを行っていますか?
建設都市開発省と建設開発センターで、土地、人口密度、居住計画に関する政策文書が進められています。また、国家開発庁で地域開発モデルの策定も推進しています。さらに、「ウランバートル2020-2050総合開発計画」を策定中です。しかし、これらの政策文書は現状、支離滅裂であると言わざるを得ません。したがって、これらを調整し、互いの帳尻を合わせる必要があります。
また別件、ウランバートルの法的地位に関する法律については、無事に改正されました。
誰がやるかは問題ではない
──ウランバートル市交通渋滞緩和国家委員会の委員長、またウランバートル市担当大臣が就任されました。大臣に期待することは何ですか?
新しく任命された大臣が非常に協力的です。現状、特に、部門間の調整が規制されています。混雑はウランバートルだけの問題ではなく、国の問題です。首都は、国家における社会、経済、交通、物流、貿易の主要な中心地です。社会活動の合計63%、経済の70%、企業の77%、大学の95%、人口の53%がこの都市に集中しています。
私たちは、ウランバートルの問題を短期間に解決しなければなりません。そうすれば、将来の国家発展の課題も解決されます。国会や政府のレベルで法改正をすることが急務でしょう。要は結果です。誰がやるかは関係ありません。
首都ウランバートルは、その歴史上初めて、独自に開発政策を定め、戦略や計画を策定し、それを実行する機会を得ました。そして27年ぶりに「ウランバートルの法的地位に関する法律」の改正に成功しました。この法律の枠組みの中で、ウランバートルを拡大し、「単心型都市から多心型都市にする」ことが目標に設定されました。地方分権や都市の拡大は、今日明日に解決できるような簡単な問題ではありません。そのため、市当局は段階的な工事の実施に向け、日々の業務より優先的に本件について取り組んでいます。