決算書は取引先、銀行、投資家、就職活動者…その企業に関わるすべての人にとって重要
決算書は、会社経営の結果を数字であらわしたものです。決算書を見ると、いろいろなことがわかりますが、そのなかでも特に重要なのは、その会社が「儲かっているか」、また、「つぶれなそうか」の2つです。
「儲かっているか」を収益性、「つぶれなそうか」を安全性といいます。会社をとりまくさまざまな関係者は、収益性と安全性がわかることで、会社との付き合い方を決めることができるようになります。
取引先は、取引を続けるかどうか。投資家は、その会社の株を買うかどうか。銀行は、お金を貸すかどうか。就職活動をしている人は、働くかどうか。従業員は、働き続けるかどうか。会社の関係者にとっては、その会社がきちんと支払ってくれるかが重要です。
取引先なら代金、投資家なら配当、銀行なら融資の返済、従業員なら給料です。決算書で収益性と安全性がわかることで、きちんと支払ってくれるかの判断に役立てることができるのです。
決算書は共通のルールによってつくられるので、過去の数字とくらべたり、他の会社とくらべたりすることもできます。決算書が読めるようになるということは、その共通のルールを知って、収益性や安全性を判断できるようになるということです。
決算とは?
会社は通常1年ごとに決算書を作ります。これを決算といいます。3ヵ月ごとに作る決算書もありますが、重要なのは1年ごとの決算書です。
家電量販店などでは「決算セール」をやることがありますが、決算の前に決算書の数字をよくしようとしてセールをしているんですね。決算書の基準の日を決算日といいます。
たとえば、3月末が決算日なら、毎年4月1日から3月末までの1年間の数字に基づいて決算書を作ります。「2022年3月期」というと、2021年4月1日から2022年3月末までの決算ということです。日本の会社は3月決算が多いので、「決算セール」も3月が多いです。
決算書はどこで見られる?
会社には上場企業と未上場企業があります。上場企業は決算書を公表しています。上場企業は、証券会社を通して、誰でも、その会社の株を買うことができるような会社です。トヨタとかNTTのように、誰もがよく知っているような大企業の多くは上場企業です。
誰でも株を買うことができるので、投資家がきちんと判断できるように、情報開示のルールが決まっているんです。上場企業が公開している資料でもっとも詳しいのが有価証券報告書で、決算書も載っています。
ほとんどの上場企業は、自社のホームページに有価証券報告書を掲載しています。有価証券報告書は略して「有報」ということも多く、私が有報を見たいときは、「有報NTT」といったキーワードで検索します。
ただ、日本の上場企業は4,000社ほどしかありません。日本には、個人経営を含めて386万社の企業がありますが、大多数の会社は上場していない未上場企業なんです。オーナーがすべての株をもっているオーナー企業は、典型的な未上場企業です。
未上場企業のほとんどは決算書を公表しておらず、簡単に見ることはできません。決算書を見たいときは、会社と信頼関係があれば、その会社にお願いして見せてもらいます。会社に見せてもらうことができない場合、有料になりますが、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社を通して、見ることができる場合もあります。