(※写真はイメージです/PIXTA)

相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、南青山の鎌田昂伺行政書士のコラムを一部編集してお届けします。

 

「相続手続きや相続の準備」で行政書士に何を依頼できる?

行政書士へ相続に関する依頼をすれば、あまり法律の知識のない相続人達で進めるよりもスムーズな手続きが期待できます。ここでは行政書士が可能な相続の準備、そして実際の手続きについて解説します。

 

相続の準備段階のサポート

事前に相続の準備がしたい、相続が開始されて速やかにいろいろな情報を収集したい場合、行政書士が行えるのは主に次のような業務です。

 

相続人調査

 

行政書士は被相続人(故人)の死亡時の戸籍資料を取り寄せ、出生までの戸籍を順番にさかのぼって相続人の調査をすることができます。

 

この相続人調査が必要なのは、相続開始時に予想外の相続人が現れて混乱する事態を避けるためです。例えば相続人が配偶者である自分と子しかいないと思っていたら、前妻の子が突然現れて相続権を主張した場合です。

 

既に配偶者と子だけで遺産分割を済ませていた場合、再度遺産分割について決め直す必要が出てきます。それを避けるべく、被相続人が亡くなる前に、他に相続人がいないことを示す必要があります。もしくは、相続開始後すみやかに相続人となる人を確認するため、調査が必要となります。

 

相続財産調査

 

事前の対策として遺言書を検討する場合には、まずは、ご自身の財産の棚卸しをしておくのがおすすめです。

 

遺言のアドバイス等

 

行政書士が遺言者の代わりに遺言書を作成できるわけではありませんが、ご本人の意向を実現するために最適な遺言書の内容についてアドバイスしてくれます。また、相続人たちが遺産分割でもめないよう遺留分などにも配慮した提案をしてくれます。

 

公証人が関与して作成する公正証書遺言では、必要書類の収集はもちろん、遺言作成当日に必要となる証人を担当してくれます。ご相談者様に代わって、公証役場(公証人)との事前の打合せも行ってくれます。

 

遺産分割協議書の作成

 

被相続人が遺言を残していた場合や、相続人が一人しかいないのであれば遺産分割協議書の作成は不要ですが、遺言書がなく、複数の相続人がいるのであれば基本的に遺産分割協議書を作成する必要があります。この作成も行政書士の業務です。

 

遺産の分割方法が決まれば、後日に起こり得る紛争予防や財産の名義変更・預貯金の払い戻し等に使用することとなるため、協議内容を書面にまとめておく必要があります。

 

しかし、法務局、税務署、金融機関等の相続に関する手続きに利用するには、各機関から求められる内容を明記する必要があります。それが満たされていないと遺産分割協議書は作成し直すことになります。

 

行政書士ならば、遺産分割協議書にどのような内容を記載すればよいかを把握しています。そのため、行政書士が作成した遺産分割協議書であれば、円滑に手続きが進むはずです。

 

このように、事前の相続準備のために行政書士に依頼することが可能です。また、遺産分割協議書の作成を行政書士に依頼した場合には3万円程度が目安となります。

 

相続手続きのサポート

被相続人の遺産を引き継いだ場合、相続人は名義の変更手続きを行う必要があります。行政書士が行える手続きは主に次のようなものです。

 

預貯金の解約手続き

 

被相続人が亡くなると、相続人等から勝手に引き出されることを防止するために、金融機関が死亡の旨を把握すると、被相続人の口座が凍結されます。

 

この預金の払い戻しを行うには解約手続きが必要です。しかし、その際は相続関係が明記された戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明、遺産分割協議書等が必要です。

 

手続き自体は難しくないものの、平日昼間の時間帯に窓口で手続きしなければならない金融機関が多いです。わずかな時間に窓口で手続きを行う余裕がない、確実に手続きを進めたいという場合、行政書士に依頼したほうが無難です。

 

自動車の名義変更手続き

 

被相続人の自動車を引き継いだ場合、名義変更手続きを行う必要があります。なお、引き継いだ後すぐに売却したり廃車したりするケースも同様です。

 

この名義変更は、相続関係が明記された戸籍謄本や相続者全員の印鑑証明、遺産分割協議書、車検証、車庫証明書等を揃え、運輸支局で手続きします。

 

こちらも平日昼間の時間帯に手続きが必要なので、時間が取れない、確実に手続きを進めたいという場合は、行政書士に依頼したほうが良いでしょう。

 

株式の名義変更手続き

 

相続する資産が株式のような場合、上場株式なら証券会社・株式会社の両方で手続きしなければなりません。証券会社の場合は顧客ごとに取引口座を開設しているため、取引口座の名義変更手続きを行う必要があります。

 

また、株式を発行している株式会社ならば、株主名簿の名義変更手続きを行います。こちらは基本的に証券会社が代行して手配します。

 

一方、非上場株式の名義変更手続きは、会社によって行う手続きが異なり、発行した株式会社に直接問い合わせる必要があります。

 

株式の名義変更もやや煩雑な手続きとなるため、行政書士に任せたほうが作業はスムーズに進むはずです。

 

次ページ行政書士に依頼した際の「相続に関する費用」の目安は

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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