(※写真はイメージです/PIXTA)

バイク置き場の不足や駐車場代の問題、ゲリラ豪雨による駐車場の冠水といった自然災害、インターネット接続の不具合など、複数の住人が生活する集合住宅にはさまざまなリスクが存在しています。では、こうした諸問題にはどのように向き合っていけば良いのでしょうか。マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、事例を交えて解説します。

苦情が寄せられがちな「インターネット接続」問題

事例でも、苦情が寄せられているマンションのインターネット接続だが、陣内さんのマンションでは、管理組合の一括契約タイプである。

 

このタイプは、新築時に決められた事業者のインターネット回線が引かれ、プロバイダーの選択はできない。各戸で使用の有無にかかわらず、毎月戸数×使用料が請求され管理組合で一括払いが多い。

 

その費用は管理費会計、つまり管理費の中から負担していたり、別途インターネット使用料として請求されていることが多い。全戸で契約するため、使用料が安いのが特徴である。

 

しかし、工事不要で自宅のコンセントに差し込むだけで使えるホームルーターや、小型で持ち運びもできるポケット型Wi-Fiなどの普及、そもそも自宅ではスマホやタブレットで足りるため、インターネットは使用しないなど、使用していない住戸から不満の声があがることがある。

 

実際に一括契約する10棟近くのマンションでアンケートをとったことがあるのだが、使用率は平均すると60%前後、低いマンションでは30%台というところもあった。

 

意見としては回線の速度が遅い、ドメインの関係でアドレスの@アットマーク以降の表記によってマンション名が特定されるのが嫌などという意見があがった。

 

一方で在宅ワークをしている人からは、仕事でこのアドレスを使用しているため、一括契約を解除されると困るという意見もある。

 

管理組合で一括契約している場合は、インターネットの使用状況について一度アンケートをとることをおすすめしたい。

 

じつは使用していない住戸が多く無駄な費用負担をしている可能性もある。また管理組合とインターネット事業者との契約書もよく確認したい。契約期間の縛りや違約金などがある場合もある。

 

なお、マンションには、集まって住むからこそ豪華な施設や設備などを使用できる、いわばサブスクリプション的な要素があるが、駐車場にしろインターネットにしろ、使用していない住民からすると不満が内在しやすい。

 

しかし、それら施設や設備も含めて、あなたのマンションなのである。

 

部屋の中ばかりにとらわれず、マンション全体に使用頻度の低い施設や設備はないか、「金食い虫」はないか、それはマンションの売り(魅力)なのかよく確認すべきだ。

 

使用頻度の低い施設や設備があるなら、陣内さんのマンションのように改修や撤去なども有効である。このようになるべく管理費の値上げはせずに、管理の質を下げない範囲で、経費を削減するというのも収支バランスを解決するひとつの方法である。

 

 

日下部 理絵

マンショントレンド評論家

オフィス・日下部 代表

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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