(※写真はイメージです/PIXTA)

都心では「車離れ」が進み、駐車場に空きが目立っているケースが少なくありません。マンションの管理費等は、駐車場利用料が入ることを前提に組まれていることが多く、利用率が下がると財政を圧迫し、赤字会計となってしまいます。マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、マンション管理組合が特に頭を悩ませている「機械式駐車場」の問題について、事例をもとに解説します。

陣内さんの住むマンション管理組合は「破綻寸前」

より頭を悩ませるのが、空き駐車場とマンション管理組合の財政との関係だ。駐車場使用料は、新築時から管理組合の管理費会計の収入になっており、駐車場の利用率が低下すると、収支にも影響を与える。

 

管理費会計は一見黒字に見えるが、単年度で見るとすでに余剰金を食い潰しておりマイナス会計、このままいくと数年先には赤字に転落するという。

 

駐車場問題が管理費や修繕積立金の値上げにも影響するかもしれず頭が痛い。しかも、長期滞納者問題に加え、マンション全体の3回目の大規模修繕も数年先には検討しなければならない。

 

さらに近年、マンション全体で契約しているインターネット回線についても苦情が多いという。一見平穏に感じた自宅マンションは問題が山積みなのを知る。

 

まさか、自分のマンションの管理組合会計が破綻しそうになっているなんて、予想もしていなかった隆さんはショックを受けた。

 

次回の理事会からより具体的な話し合いがはじまるという。気安く理事長なんて引き受けるべきじゃなかったとがっくりしてしまった。

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

私たちは、本当にマンションを終の棲家にできるのか? 2030年、分譲マンション約780万戸のうち、築30年以上が過半数を超える。現在、安全・安心・快適なマンションへの永住指向が強まる一方、自らの老いとマンション老朽化…

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