リフォーム時に活用したい「控除」
それでは糸井さん宅は何も支援を受けられなかったのかというとそうではない。自宅マンションをリフォームした場合、工事内容や諸条件を満たせばリフォーム費用は減税対象となり、所得税控除を受けられる可能性があるのだ。
リフォームのため5年以上のローンを利用していれば「住宅ローン減税」「ローン型減税」、ローンを利用しない場合や5年未満のローンなら「投資型減税」が対象。
対象となる不動産はそれぞれ「延床面積50m2以上」「自らが居住する」「耐震性能を有する」など一定の条件がある。
糸井さんは、投資型減税を利用した。それはまもなく定年でいまのところ再就職を予定していないからだ。投資型減税だと控除期間が1年になる。なお、65歳以上だったら固定資産税の減税も使える。
また、所得税以外にも、リフォームを行うことで申請できる減税措置がある。
たとえば固定資産税は、次のリフォームを対象とし、工事完了後3ヵ月以内に対象不動産がある市区町村に届け出ると、固定資産税が減額される可能性がある。
・耐震リフォーム:リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の2分の1が減額となる(床面積120m2相当分まで)。「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」との併用はできない。
・バリアフリーリフォームや省エネリフォーム:リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の3分の1が減額となる(バリアフリーリフォームは1戸当たり床面積の100m2相当分、省エネリフォームは1戸当たり床面積の120m2相当分まで)。耐震リフォームとの併用はできない。
また、リフォームすることによって、「長期優良住宅」の認定を受けると、リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の3分の2が減額(耐震・バリアフリー・省エネいずれのリフォームとの併用はできない)される。
このように、住宅をリフォームする場合、補助金や助成金のほか、すべてのリフォームが減税対象ではないが、所得税などの税金が控除される可能性があることを覚えておいて欲しい。
税制は年度によって変わるので、リフォームをする際には、必ず税務署や税理士などに相談し、該当する場合は、忘れずに活用したいものだ。
日下部 理絵
マンショントレンド評論家
オフィス・日下部 代表
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】