課題4:プレゼン資料で、どう役員から賛同を得るか
経営者はDXを、どうとらえているのでしょうか。彼らは「DXに興味があるからDXのことを知りたい」のではなく「DXをすることで我が社にどんな効果、影響があるか」を知りたいのです。これまで数多くの役員会資料の作成をサポートしてきましたが、提案を通すために気をつけるべき点は、具体的な数字に落とし込むことと、中期的なビジョンに沿っていることです。
具体的な数字といっても「生産性が上がることで期待される効果はOO億~OO億円」など幅があって構いません。期待される効果を具体的な数字に落とし込むだけで、経営者も費用対効果をイメージしやすくなります。
なぜ中期的なビジョンを重視するかというと、経営幹部は中期計画を策定する際にもかなりの時間と労力を割いているからです。外部のコンサルタントを活用したり、社内の人員を動員したりしながらの努力にDXがどう寄与するかという視点が欠けていたら、たとえDXに興味があったとしても話を聞いてもらえないでしょう。DXという言葉をフックにしつつ、 具体的な数字と中期的なビジョンを盛り込んだプレゼンの実施をおすすめします。
課題5:1ヵ月後のプレゼンでのゴール設定はどこか
1ヵ月後のプレゼンのゴールはどう設定すべきでしょうか。今回の提案は会社全体の利益になり、現場の働きやすさが向上します。そのためにシステム刷新の承認を得たいわけです。
結論からいうと、ここでのゴール設定は「経営者もしくは担当役員の直下でプロジェクトを立ち上げること」。システム刷新にかかる費用は少なくとも数千万円で、 より大規模なプロジェクトなら数億円にも上ります。いくら必要とはいえ、これだけの予算がすぐ承認されることはありません。特にDXプロジェクトの場合、システム刷新だけではなく業務プロセスそのものを変えていく必要もあります。社内での理解を得て、少しずつ進めていくべきなのです。
このプレゼンをサポートしたときは、最初の役員会で大多数の役員から理解を得られなかったものの、興味を持ってくれた役員の下でプロジェクトを組めました。その後社内を巻き込んでのシステム刷新へと順調に動き出せました。
社内を巻き込んだDXプロジェクトの提案でも、相手の視点で具体的な成果があることを伝えきることで経営幹部が動いてくれることもあります。きっかけは現場の提案でも、経営者、経営幹部の直下で行うという落としどころを探ることはDX推進者としての成果にも繋がります。
日淺 光博
DXコンサルタント
株式会社日淺 代表取締役社長