前回は、オーナー社長が法人で収益物件を取得するメリットについて説明しました。今回は、収益物件を最大限活用するために「目的の明確化」が欠かせない理由について見ていきます。

目的に応じて物件の「取得主体」を選択

物件を個人で取得するか法人で取得するか、それとも家族名義で取得するかは、目的に応じて考える必要があります。

 

例えば長期で副収入を得たい場合は、税率の低い主体で取得するべきです。なぜなら不動産の所得は他の所得と合算されますので、例えば役員報酬などが高額の方は収益物件の副収入と合わせた全体の税率が高くなってしまいます。

 

副収入目的であれば、自分より収入の低い家族(例えば奥様など)の名義で物件を取得する、もしくは、個人の資産管理会社で取得するという方法が考えられます。法人税は引き下げの傾向にありますから、収益物件からの利益に対する課税を比較的少なくすることができるでしょう。

節税が目的か、長期の副収入狙いか?

次に節税の目的の場合です。

 

高額の役員報酬を得ている人が、個人の所得を節税したいとします。この場合は本人の個人名義で取得し、減価償却を多く取れる物件を活用して、節税を図ります。また、経営している会社の利益を圧縮して節税したい場合は、その会社で取得することになります。生命保険として利用する場合には、本人が取得し団体信用生命保険に加入する必要があります。

 

もちろん、法人と個人など名義を分散して複数の収益物件を保有することも可能です。A棟、B棟は節税用でC棟は長期の副収入狙いなど、複数の目的を組み合わせて活用することができますので、その際もそれぞれ取引主体を分けます。いずれにせよ、収益物件の活用を考える際は、「何を目的として」のものか、はっきりさせることが重要といえます。

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス以降、景気は回復傾向を示していますが、利益を上げ続けるというのは簡単なことではありません。加えてオーナー社長を悩ませるのが増税です。 本書では、中小企業のオーナー社長に向けて、賃貸用アパート・マンシ…

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