優れたリーダーは「仮説」を持っている
成果を出せるリーダーと、成果を出せないリーダーには大きな違いがあります。それは、「仮説」を持っているかどうかです。優れたリーダーは例外なく、自ら仮説を立て、それをベースにマネジメントを行なっています。
仮説を立てる力は、リーダーシップの発揮と目標の達成を求められるリーダーにはとても重要な力となるのです。
「意思決定の出発点は仮説。まず意見を持つのを奨励し、次に現実の検証を求めよ」マネジメントという概念を発明した経営学者、ピーター・ドラッカーはこう述べています。ビジネスにはどんな場面でも有効な戦略、戦術というものはありません。
つまり、その場その場で、「こうすればこうなる」「こうなったときにはこうする」ということを、明確にしていかなければならないのです。それができるリーダーは、部下を不安にさせることなく、「前進していくチーム」をつくりあげられます。
仮説=「自分なりの成功イメージ」
わかりやすくいえば、仮説とは「自分なりの成功のイメージ」です。仕事における成功のイメージというのは、さまざまな要素が絡み合ってつくりあげられます。円滑にチームを動かす、メンバー一人ひとりの力を発揮させる、目標までの道筋を考える…というようにいろいろな要素があります。
リーダーは、それぞれの方針を明確に示さなくてはなりません。現場の最前線では、本当の意味での「仕事の見える化」が求められるのです。私は当然、自分勝手な成功のイメージを押しつければいいといっているわけではありません。チーム
メンバー各々の能力や成功のイメージをすくいあげて、それをあなたの仮説に反映させる必要があります。そして、自分だけではなく、チーム全員がイメージを共有できる仮説をつくっていくことが大切です。
あなたのチームが最大の成果をあげられるように、そして、チームが円滑に動いていけるように、仮説を立てられる人こそが、優れたリーダーなのです。
本書では、リーダーの地位にある人、今後リーダーとして活躍したい人のために、チームを動かす「仮説のつくり方」についてお話ししていきます。
「無理」「無駄」を明確化が、効果的な仮説を導く
「仮説を立てる」というと、たくさんの情報を集め、複雑なものをつくりあげなくてはならないと思う人もいることでしょう。しかし、必ずしもそうではありません。チームのメンバーとうまくコミュニケーションを取りながら一緒になって仮説をつくっていくと、驚くほどシンプルで効果的な仮説ができあがります。
「現状はどうなのか」「どこに課題があるのか」などと、チーム内の聞き取りをしていくことで、「無理」「無駄」が明確になり、やるべきことだけが浮かびあがってきます。こうした仮説を提案すると、部下は心理的な抵抗感もなく、スムーズに行動に移ることができます。