(※写真はイメージです/PIXTA)

結果を出せるリーダーは「仮説」をもっています。また、「シンプルな仮説」はチームをひとつにする力があります。26年間務めた花王で培った経験をもとに、現在は課題解決コンサルタントとして活躍する阿比留眞二氏が編み出したビジネス・メソッドを、著書『最高のリーダーは、この「仮説」でチームを動かす 』(三笠書房)で解説します。

部下を急成長させる魔法の言葉

部下にはさまざまなタイプがいます。優秀で頼れる部下ばかりだといいのですが、なかには仕事のやり方がとても場当たり的な部下もいます。

 

たとえば、私が指導をしている会社にいたD君のケース。D君はその場その場で出たとこ勝負の仕事をしていました。計画性がなく、仕事を俯瞰することができないので、いつも仕事に追われ、忙しそうにしています。

 

D君をどのようにマネジメントしていくか? 彼の上司が迷っていたので、私は定期的に「これからどうなる?」と問いかけることを提案しました。

 

場当たり的な仕事をしている人に「そうやって進めると、これからどうなるかな?」と問いかけても、しっかりした返答はないでしょう。つまり、仮説を持たず、先の見通しがないまま仕事をしているのです。これでは、仕事の効率が悪いので、忙しくなってしまって当然です。

多くの部下は、緊急性の高い仕事を優先しがち

D君に限らず、多くの部下は、自分にとって緊急性が高い仕事から片づけていきますから、チームの将来を意識しながら動くという感覚がありません。そこで「これからどうなる?」と問うことで、チーム全体に見通しを持つ意識を浸透させていくのです。

 

D君の上司は、仕事の報告を受けるたびに、「今後の見通し」を尋ねました。最初はうまく答えられなかったD君ですが、上司が毎回のように聞いてくるので、少しずつ自分なりの答えを持てるようになりました。それに伴い、効率も上がり、計画を立てて仕事を進められるようになっていきました。

 

今では、D君自身が上司の立場で部下に「問いかけ」をしているそうです。「これからどうなる?」と問いかければ、当然「この先どんなことが起きるのか。対策はできているのか。準備はできているのか」と考えてくれます。

 

「今やっている仕事の先には、いったい何があるんだろう」と部下それぞれに考えさせるだけで、チーム内のトラブルを未然に防ぐことができます。これがチームを円滑に動かす秘訣です。「これからどうなる?」と問いかけることで、部下自身の見通す力がついていくのです。

 

次ページ部下のキャリアに応じて聞き出し方を変えよう

※本連載は、阿比留眞二氏の著書『最高のリーダーは、この「仮説」でチームを動かす』(三笠書房)から一部を抜粋し、再構成したものです

最高のリーダーは、この「仮説」でチームを動かす

最高のリーダーは、この「仮説」でチームを動かす

阿比留 眞二

三笠書房

「シンプルな仮説」がチームを一つにする! 成果を生む! ◎「あれもこれも」ではなく「1つ」に ◎花王を変えた「想像力」とは? ◎「いきなり情報収集」はNG ◎「これからどうなる?」と問いかけよ ◎ 会議を「仮説検…

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