(写真はイメージです/PIXTA)

口座名義人が死亡すると、銀行の口座が凍結されます。生活費などの当面の資金をすべて亡夫の口座で管理していた場合は、どのように対処すればよいのでしょうか? 相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説します。

生前に検討すべき口座凍結対策

口座凍結によって家族が当面の生活資金に困る可能性がある場合には、事前に対策をしておくとよいでしょう。検討すべき対策は次のとおりです。

 

必要となる資金を引き出しておく

生前にまとまった資金を引き出して自宅の金庫などで保管をしておくことで、口座凍結がなされても家族が当面の生活費を確保することができます。ただし、この場合には盗難に注意すべきであるほか、自宅に置いた現金の金額の情報をほかの相続人にも共有するなど、家族が使い込みや隠匿を疑われないような対策が必要です。

 

また、預金を現金にしたからといって、その分が相続税の対象から除外されるわけではありません。相続税がかかる場合には、現金についても正しく申告しましょう。

 

生前贈与をしておく

家族に対して生前贈与をしておくことも、相続開始後の資金不足に対する有効な対策となります。家族がそれぞれある程度の預金を保有しておけば、当面の生活費を捻出することができるでしょう。 死亡によって口座凍結されるのは亡くなった本人の口座のみであり、家族の口座までもが凍結されるわけではありません。

 

ただし、まとまった資金を一気に贈与した場合には、贈与税の対象となります。 贈与をする際には、その贈与に対してどの程度の贈与税がかかるのか、あらかじめ税理士などの専門家へ相談して確認しておきましょう。

 

遺言書を作成しておく

預金口座の凍結は、その金融機関の預貯金を相続する人が決まるまでの一時的な措置です。そうであるとはいえ、遺産分割協議が難航して長期化すればいつまで経っても凍結が解除されません。

 

一方で、故人が遺した有効な遺言書で預金の承継者が定められていれば、預金の承継者や遺言執行者が手続きをすることでスムーズに預金を引き出すことが可能となります。この際、他の相続人の承諾などは必要ありません。ですから、あらかじめ遺言書を遺しておくことも、口座凍結対策として有効です。

 

生命保険を契約しておく

生命保険金は預貯金とは異なり、指定された受取人独自の財産とされています。 そのため、受取人が定められている生命保険金は受取人が単独で手続きすることができ、受け取り手続きにあたって他の相続人などの協力を得る必要はありません。

 

生命保険契約を締結しておくことで、相続開始後にまとまったお金を特定の人へスムーズに渡すことが可能となります。

まとめ

相続が起きたことを金融機関が知ると、その時点で預金口座が凍結されます。 口座凍結は遺産分割協議がまとまるなどすれば解除されますが、それまでの資金に困窮してしまう場合もあることでしょう。こうした事態に備えるため、生前の対策が重要となります。また、相続開始後であれば、預金の仮払い制度などを活用して対応することが可能です。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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